色々と覚醒してしまった件
「あ~、恥ずかしい……何やってんですか、私! もう!」
まあ、結果的には抱え込んでいたものが丸く収まりましたし、ああしないほうが良かったとは言いませんが。
なんか自分でも不可解な精神テンションになって、色々ぶちまけた挙句にめそめそ泣くとか、恥ずかしすぎて穴があったら入りたい気分です。
「というワケで、ちょっと庭先に埋まる為の穴を掘ってもいいですかね?」
「何が『というワケ』なのか分からないけど、それはやめて」
いっそ魔法を使った剛力でセルフ土葬でもしようかと思いましたが、庭にそんな大きな穴を空けられるのは本気でイヤだったようで、珍しく真顔のミアちゃんに止められました。
彼女もさっきまで泣いていたはずなのですが、もう完全に普段どおりのフラットな精神状態へと戻っているようです。彼女が精神的にタフなのか、それとも私のメンタルが雑魚すぎるのかどっちでしょう。その答えは怖いので聞きたくありませんが。
「でも……ふふ」
「どうしました? 突然笑ったりして」
「うん、さっきのリコちゃんの顔を思い出して……えっとね、泣き顔が可愛かったなって」
「後生ですから、あれは忘れてください!」
「え~、やだよぉ」
なんだか、とてもマズイ状況かもしれません。
というか、人の泣き顔を思い出して「可愛い」とか、意外とSなんでしょうか。
くすくすと可笑しそうに微笑む様子からは悪意は一切感じられませんが、だからといって全く安心は出来ません。もしかして私のせいで彼女の中の何かが覚醒してしまったのでしょうか。
「そ、そんなことより、早く食べないとご飯が冷めてしまいますよっ」
「うん、それもそうだね。じゃあ、今は忘れておこうかな」
サラッと「今は」とか言いましたよ、この子!?
どう考えても後でイジる気満々じゃないですか。でも、私もそれが本気でイヤかというと……あれ、意外とアリな気が?
いけません。
これ以上この件について考えると私までおかしな趣味に目覚めかねない予感があります。
そういうのはネタで言う分にはなんともないんですが、実際に自分がどうこうするというのは……その、まだ早いと思います!
「ふふ、顔が赤いよ、リコちゃん?」
「な、なんでもありませんよ?」
なんだか顔が熱いです。
風邪でも引きましたかね! ええ、きっと風邪ですとも!
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