「情報」という概念
しかし、この伝説の3Dプリンター、どうやって作ったんだ?
モーゼス老に聞いたところ、「古文書を見つけた」のだそうだ。
古ぼけた紙の束。しかも巻物ではなく、長方形に一様に成型された紙の束には、多くの伝説的な情報が描かれていた、とのこと。
なにそれ? どんな情報?
彼は、その紙の束に描かれた伝説的情報を詳細に検討し、試行錯誤の末、この伝説の3Dプリンターを現世に甦らせた、ということになる。
もはや、モーゼス老自身が3Dプリンターだろそれ! なにその具現力?
「これはまさしく、古代の神が我々に与えたもうた奇跡!」
モーゼス老はそう言って天を仰いだ。いや、もちろん古代の神もすごいけどさ? あんたも大概だぞ? 自覚できてる?
そんなこんなで、モーゼス老の説明を受け、こちらは手元の兵士を人足として出して、3Dプリンターで武器防具を作ってみることになった。
はがねの粉は、我が国の秘宝「ミスリル製ミキサー」を城の倉庫から引っ張り出してきて作った。
え? ミスリルのやつを持ってるじゃん! って?
希少品なんだよミスリルは。そう誰にも彼にも使わせるわけにはいかないの。冒険してゲットしてくれよ欲しいなら。
で、ゴリゴリやった。はがねを。
粉にするまで、準備も含めて2日。そこからそれなりの人数分の武器防具を作るまで4日。合わせて6日かかるとの目算。3分とはいかない。
この6日の間、勇者一行をただ遊ばせておくのも、コストパフォーマンスが良くない。
モーゼス老は武器防具作成の中心人物だから、そちらの指揮を手伝ってもらうとして、残りの面子は、戦いに備えて訓練させた。
我が国精鋭の近衛団に合流させたのね。
近衛団の団長は少し渋ったが、「彼らに任せておけば、お前達の手数も減って楽になるぞ」と説得した。
説得の際は、相手の利益になるようなことを言わないと。交渉の基本でしょ?
一方、イケメン勇者はあまり理屈をこねなかった。「条件を先に決めてあるから」かな? 万事スムーズ。
よし。じゃあ後は、実行だ! 武器防具の製作と、戦闘訓練を。
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