3
ガタンゴトン...電車に揺られながら俺たちは若者の街、渋谷に行くこととなった。だがこのパーティはその場所に行くのには相応しくない。1人目はジャージの少女...そしてつっかけ、もといサンダル。しかも家にあった奴。
もう1人はタンクトップに半ズボンそしてランニングシューズ。そのシューズは底が綺麗になりつつある。兄貴にそれは寿命だと言ったが
「最後までこの靴を看取る義務がある」
と意味が分からん事をのたまっていた。いや、余所行きでは無いだろう。
「ふわぁぁ...箱が動いてます」
清ちゃんはまたも、目を丸くしている。
「もしかして電車に乗った事無かったの?」
「お恥ずかしながら...」
別に恥ずかしい話でも無いんだが、やっぱり幽霊ってやつなのかな?いや、でも...
「何かついてます?」
「いや、何でも無いよ」
どっからどう見ても普通の人間と変わらんけどなぁ。見た目は中学生から高校生くらいの女の子。髪は長く腰くらいまである。目は最初は赤かったけど、今は普通。寝不足かな?
まぁ別にどうでも良いか、楽しそうなら。
「流石に9時を過ぎると乗客は少なくなってくるな.. 少々退屈だな、スクワットでもするか...」
「いや、常識で行動してくれよ!何処の世界に電車内でトレーニングを始める男が居るんだよ!」
「そうか...ちょうどいい吊り輪もあるし、退屈しのぎに良いと思ったんだが」
この男を東伝次と呼ぼうかな。いやいや、それよりもだ。
「それはそうと兄貴、清ちゃんの服のお金ってどうすんの?」
耳元でひそひそ囁く。幸い、清ちゃんは車内を物珍しげにキョロキョロとしていたので聞こえてはいない様子。
「支払いは俺が持とう。お前は学生だし、お清さんは金を持っていない」
「女の子ものって結構、かかるよ?」
「ダンベル、バーベル、懸垂マシン。加圧セットにバランスボール...それに比べれば大した額ではないだろう」
「まぁ......」
兄貴の部屋は言わばジムと化してるしなぁ...試供品やら会社で貰った者やら要らん物が多い、鉄骨ジャングル部屋。俺は近づかないようにしている。
「金というものは使うことによって経済が回る。つまり使わなければ意味がない」
「さいで」
兄貴が良いのなら別に構わないや。俺もせっかくだし自分の服でも見ようかな?
「ああっ、凄い!さっきから人が増えたり減ったり...扉の向こうはどうなっているんでしょう...」
駅に着いて乗客の乗降を珍しい様子。今にも扉の向こうへ行きそうな状態。
「清ちゃん。もうすぐ着くからね、それまでちょっと大人しくしててね?」
「あ、はい...ごめんなさい」
しおらしくなってしまった。ああ、言い過ぎちゃったかな?
「とりあえず行く店を決めておこう」
兄貴はリュックからタブレットを取り出して俺たちに見せた。そこには有名店のリストが3つくらい書いてある。
兄貴には相応しくねぇ店だな...
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