これであらかた片付いたかな。キッチンを見渡すと素晴らしい綺麗さ!とまでは行かないものの、それなりに綺麗になったので満足が行った。


「さて、片付いたのは良いけれど暑いな...」


壊れたエアコンを尻目に俺は冷蔵庫から飲み物を取り出した。夏の麦茶は美味い、これは至言である。とその時


ガチャ


っと扉が開いた。どうやらシャワーを浴び終えたらしい。頭からバスタオルを被ってTシャツにジャージのズボンの姿の彼女の姿は...妹がいたらこんな感じなのかな?風邪引くなよとだけ言いたい。


「どうだった?」


「...水...だった」


それは当たり前の返しだった。風呂に行って、どうだったと聞かれて『わぁっ、チョモランマを越えた先みたいだった!!』と答える輩がいたら、そんな奴は怪奇現象探索同好会に来い!即戦力だ!


「え〜っと、じゃあ気持ちよかった?」


「...うん。今は個人浴場という他人を気にしなくても良い場所があるとは...」


君は一体、いつの時代の人間なんだ?それに


「タオル湿ってて気持ち悪くない?」


「...この手ぬぐい。とても気持ち良い......ふわふわ」


おお...タオルに顔をうずめている...それ、たかが100均のタオルなんだけど...。


「夏風邪引くと大変だからさ、ドライヤーで髪を乾かして来たら?」


「......?ど、どら......」


あー話が通じん。このままでは何もせんまま、時間が夜になる。


「ちょっと待ってて」


俺はそう言って洗面所からドライヤーを持って来た。ちなみにこのドライヤーは年末のビンゴで貰ったそうだが、兄貴は使わないそうなので俺が貰った。イオンが出たり、髪を傷めないという優れ物...ってパッケージには書いてあった。


ブォォォォォォォォ


勢い良く風が吹く。夏なのでCoolモードでの風が気持ちいい。それを彼女の頭に向かって乾かしてやる。


「.........気持ちいい」


安心したのか、俺に背中を預けてくる。まるで猫の様だ...いやいや、犬の方が近いか?


「うち、クーラーぶっ壊れてるからさ、ちょっと暑いけど少し我慢して」


「いい、気持ち...いいから」


まぁ水をぶちまけたし、扇風機は回ってるから問題ない...無いよね?


流石夏。それなりに髪も乾いたし


「これで、オッケー。じゃああとは適当にそこでくつろいでて」


「...」


あれ?なんだか不満そう。でもね、電気は大切にしないとね?


「6時くらいには兄貴も帰ってくるみたいだからさ、それまでは好きな事しててくれて良いよ」


「...分かった」


と言って、俺もシャワーを浴びる事にした。汗で濡れたシャツを洗濯機に放り込もうとすると、彼女の着ていた白い服が綺麗に角に畳まれていた。


濡れてるから一緒に洗濯するかな。

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