御祭3




“酔った勢い”



もしかしたらこの時は、

その言葉が一番当てはまったかもしれない。


しゅんくんを家に呼んだところで

何が起きるわけでもないと、

高を括っていたのかな。



その後、うちでセックスしたのか、

一緒に眠ったのか覚えていない。



とりあえず、昼過ぎから

知人の仕事を手伝うことになっていたので、

慌ただしく9時には起きて

家を飛び出したことは覚えている。




もちろん、しゅんくんも一緒。




「楽しかったー!

 付き合ってくれてありがとう」



地下鉄の乗降口付近に

向かい合って立ちながら、

昨日のことを話す。

しかし、しゅんくんの反応は薄かった。



別れる駅までもうすぐなのに…どうしよう。

後からメールで

どうしたのって聞けば良いか。

何にしろ、あと一駅で新宿に着いてしまう。



困った私は諦めて、

何時に目的地に到着できるかを

計算し始めていた。






「俺、とーこさんと


 一緒に過ごすの好きだよ」






不意に口を開いたと思えば、

発せられたのはそんな言葉で。






「ていうか、とーこさんが好き」






ビックリを通り越して、

ギョッとしてしまう。



地下鉄の中でいう言葉じゃないでしょ

と、突っ込みたくもなる。

そんな言葉ばかりが先行して、

私はこの言葉を

真剣に受け取れていなかった。



信じられないのもあったけど、

私はタカユキが好きだし、

しゅんくんはあくまで…ペット。

好きと言われる意図だって見えない。



だけど、次の言葉で

それは明らかになる。






「とーこさん…付き合って」






俯き加減だったけど、

しゅんくんは確かにそう口にした。



私は言葉が出ず、

リアクションが取れない。

自分から家に呼んでおいてなんだけど、

こうなるとは本当に全く予測していなかった。



「考えておいて」と笑ったしゅんくんは、

慌てる私に手を振ると

地下鉄から降りていってしまった。

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