後書き

 『宿命』と言う言葉に対する私の定義を申し上げますと…

 先ず、『運命』とは、『運が定めたもの』と解釈しています。幾つもの選択肢があり、その選択によってこの先の道が変わります。

 人生ゲームで言えば、専門職コースとビジネスコースのようなものです。どちらの道を進むかは本人の選択で、専門職コースに行けば、どんな職業になるかは運次第です。

 それとは違い赤マスは、そこに止まるだけでなく、通り過ぎるだけで何かが起こります。


 私はその赤マスが、『宿命』と言う言葉の定義に近いと思っています。(人生ゲームを知らない方、申し訳ありません。)

 専門職に就こうがサラリーマンになろうが、決して避けられない、逃れられない道…。それが宿命です。

 本作品においては、母親も、そして息子である雄一も、その宿命から逃れる事が出来ませんでした。


 その『宿命』と言う言葉の定義と、不思議な因果関係、家族に起こった不幸を、この作品で描いてみました。

 文章能力がないので面白くなかったでしょうが、設定には自信があ…るつもりです。


 また、後に掲載を予定している『幼なママとヴァンパイア』と言う作品も、この宿命をテーマに描いています。もし宜しければ読んで頂きたく思います。




 重大な反則ですが、以下に、描きたかった世界観を記します。


 連続殺人事件の容疑者として挙げられた吉田一哉に、突然知らされた事実は、彼が孤児だったと言う事です。

 養親を既に失っていた彼にとっては、容疑者としての苦悩を和らげてくれるもののはずでした。


 しかし知らされた事実は、実の家族の複雑な関係でした。

 母親には、暴行を受けた過去がありました。

 兄は、母親の復讐の為に男達を殺害し続けました。

 そして父親は、母親を暴行した男達の誰かでした。吉田は知り得ませんが、実の父親は彼と近い場所に住んでおり、吉田が唯一、殺された姿を目撃した男でした。


 流石に、母親が暴行された事を宿命とは考えませんが、それでも、復讐の鬼となった母親、その復讐を代行した兄は、宿命を背負わされました。逃れられない運命を背負わされたのです。

 雄一は、世間に出てそれを知りました。人を殺す事は間違っていると知った彼も、選択肢が出来たはずの彼も、やはり与えられた宿命の道を選んだのです。


 母親はその宿命を、鬼や悪魔の血を吉田には継がせたくないと、彼を施設に預けます。

 吉田は母親によって、実の家族に降りかかった不運と因果関係から逃れる事が出来たと考えます。養子になり、真実を知らないまま行き続ける事が、自分に課せられた宿命だと思う事にしたのです。


 ただ残念ながら、彼も実の家族から引き継いだ宿命から、逃れる事は出来ませんでした。

 20年後の彼が引き継いだ宿命は何だったのか、誰から与えられたものだったのかは、ご想像にお任せします。



 作品の補足をここでする程、本文は面白くなかったと思います。

 だから尚更の事、最後まで読んで頂いた方々に、深い感謝を申し上げたく思います。


 また、作品の描写や構成に気分を害された方々に、お詫びの意を示したく思います。


 最後まで読んで頂き、大変ありがとう御座いました。

 ご指導、ご指摘、お叱りもお待ちしております。

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宿命 JUST A MAN @JUST-A-MAN

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