プロローグ;20年前の悲劇

先に申し上げますと、この作品の、本当の最終話は『プロローグ;20年前の悲劇』と言う話です。事件の発端である暴行事件を、プロローグと言う題目で最終話に持って来ました。

 残念ながらこのサイトのセルフレイティングはR15なので、ここでは全ては掲載しません。内容の殆どが酷い性的、暴力的描写である為です。^^;;;


 実力もないのに生意気な事を言うと、書き手として、官能小説や残虐、過度な描写には関心があります。それに挑戦してみました。


 冒頭だけを載せると…


『あの日、私は成人を迎えた。20歳の誕生日を迎え、仲が良い友人達と、初めてお酒を楽しんだ。

 遅い時間まで無理をしてしまい、慣れないお酒に、自分を管理出来なかった。


 それが…大きな過ちだった。


 私はその日、年齢だけでなく、肉体的にも成人を迎えた。

 いや…無理から大人にされた…。』


 こんな感じです。

 そこから母親は、本文に書いた被害に遭います。ここで上に挙げたような描写にチャレンジしました。


 中略をして、後半はこんな感じです。(途中にある、度を超すと思われる描写は削除しました。…ギリギリかも知れませんが…。)


『そして私が…完全に畜生に堕ちる日が来た。

 誘拐されて2週間ほどが経った頃、余りにもの空腹に耐え切れなかった私に、奴らが食事を用意した。

 私は…拒めなかった。男が口元に運んできた食事を、食らい付くようにして食べた。

 指を噛まれて腹を立てた男が、私を殴って食事を床に捨てたが、私はそれを、四つん這いになって食らい漁った。

 奴らは、私を見て笑っていたかも知れない。でも私には何も聞こえず、犬が餌を食べるようにして、口だけで、床に落ちた食事を食べた。


 食事が終わると、男達は私の口をもう1度塞いだ。

 満腹に、私は少しの間だけ人間に戻り、数分前までの自分を恥じ始めた。そして悔やんだ。

 何故、あの時舌を噛み切って自害しなかったのか?と…。空腹を前に私は我を忘れ、畜生に落ちていた。


 そして……自害を望んだ。なのに今はそれが出来ない。悔しい事に、息を止めても、苦しくなると息をし始める…。

 人の体は…何故こんなにも不便なのだろう?何故、死にたい時に死ねない体に出来ているんだろうか……?

 自分が悔しかった…。惨めだった。


 だから私は……自分を畜生だと思う事にした。人として生きようとするから、感情を持ってしまうのだ。それを捨てれば、私はきっと楽になれる…。

 奴らが畜生だったのではない。私が畜生だったのだ。そう思う事にした。




 2週間ほどが経ち、都合で1ヶ月ほどの時間が過ぎた頃、奴らは私を置いて、この古い民家から去って行った。


 奴らには自信があった。奴らは私を誘拐した時から、顔を隠したりしなかった。

 奴らは、私が自害すると考えたのだろう。実際、私の体は衰弱していた。この1ヶ月で与えられた食事は1度だけで、手足と顎の自由は奪われたままだ。生傷は痕として残り、あれ程真っ白だった私の肌は、干乾びて黒ずんだ色に変わっていた。

 私の姿は、限りなく屍に近かった。


 私は、男達が望むようにしようと考えた。このまま餓死でもして、死んでやろうと考えた。

 それでも、そこから3日ほど生き長らえてしまっていた。




 ようやく最期の時を感じた。意識は朦朧としていて何も考えられず、体の何処も動かせなくなっていた。

 私は目を閉じ、その時を待った…。私はやっと……解放されるのだ。




(………………。)


 死ぬ直前には、これまで人生を走馬灯のように思い出すと聞いていたけど、そんな事はなかった。

 死を待ち望んだ私の頭の中に浮かんだのは、望んでもいない感情だった。


(……………生き延びなきゃ………。)


 最期の最期で私の体は、私の頭に生きろと命じた。頭ではなく、体がそうしろと迫った。

 何故なのかは分からなかった。


 私は、最後の力を振り絞って綱を切り取った。そして肘と膝で民家中をうろつき回り、手足の自由を取り戻す道具を探した。

 それでも道具を見つけられなかった私は土間に出て、手を縛るテープを地面に擦りつけ始めた。

 30分も続けると、遂にテープは解かれた。手は、擦り傷どころでは済まなかった。

 指先を括るテープも解くと、自由になった右手で残りのテープを全て取り外した。

 そして男達が使っていた部屋に足を運び、そこに捨てられていた食事を、腐っているかどうかも確認せずに全て平らげた。


 動かない体に鞭を打って、身形もままならないままに近所の民家を探し、そこに助けを求めた。




 無事に家に戻ったが、父親から更なる屈辱を与えられた。父は、奴らに弄ばれた私を罵り、家族としての縁を切ったのだ。

 彼は私を……人として認めなくなっていた。裕福な家系に生まれ、自らも財産を築き続けた彼は私の行動が軽率だったと、それに似合う罰を受けたのだと言って私を捨てた。私の体と魂はもう、彼の家柄には合わないそうだ。

 母は私を助けてくれたが、以来、私は家に入る事は許されず、母の援助を受けて、それでも私は生きる事にした。



 数ヵ月後…私は、何故あれほどまでに生に執着したのかを知った。

 妊娠していた。衝撃だった。

 私は、望まない男達の子を身篭っていた。


 そして私は、何故生き続ける事にしたのかを理解した。

 ……啓示を受けたのだ。

 その声が、悪魔の声だったのか、神の声だったのかは分からない。ただ男達に、復讐をせよとの声を聞いた。

 恐らくその声は、天ではなく地獄から聞こえて来た声だ…。だからその声を聞いた時、私は…鬼になった。


 神はいない。私を助けてくれなかった。

 地獄の鬼はそんな私を不憫に思い、復讐心を与えてくれた。



 奴らは誤った。寝泊りしていた部屋に住所を確認出来る、免許証が入った財布を忘れた男がいた。

 私は、母親が援助してくれるお金を探偵に払い、奴らの居場所を探った。

 奴らの顔を、忘れられるはずもない。必ず居場所を突き止め、鬼の裁きを与えてやる…。


 待っていろ、悪魔共……。私は、お前達が私に植え付けた命を、鬼として育ててやる。その鬼に…お前達は命を奪われるのだ。鬼になった私の体に宿る、お前達が植え付けた悪魔が……お前達を地獄に送るのだ……。』



 こんな感じです。

 作品の紹介文にも書きましたが、上の文章を読んで、気分を害されたのなら陳謝申し上げます。

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