後編 指名した女の子が思い通りとは限らない

 さて何から始めようかと思考を巡らせつつ見つめると、彼女は顔を逸らしてテレビ画面に目を向けた。引き続きデモの様子が映し出されている。横顔でも怯えているのが分かる。まずは緊張をほぐしてやらねば。


「こういう人たちはそんなに働きたいのかね」

「ご主人様は働いたことあるんですか?」

 

 ――ご主人様。良い響きだ。これも指定したオプション通り。


「ないよ。この前まで学生だったんだ。もうやめたけど」


 働く必要がなくなって、学問をする人は増えた。とくに哲学や文学の価値が見直され始めた。すぐに役に立つか否かが関係なくなったからだろう。それで、僕もやってみたけどうまくハマれずに投げ出した。幸い何もしなくても国から配られる生活費のおかげで衣食住には困らない。節約してお金を貯めれば、こうして女の子だって買える。


「君こそ、なぜこの仕事を?」


 彼女は黙ってうつむいてしまう。別段強い興味があるわけではなかったのでそれ以上踏み込まなかった。

 

僕はため息をついておもむろに立ち上がると、彼女に向き直ってズボンを下ろすように指示する。続いてパンツも下ろしてもらい、僕の分身が完全に露出する。それを彼女の口元に軽く押し付ける。彼女の舌が伸び、ちろちろと生あたたかい感触が先端やその下の皮との境目を這いまわる。一通り舐めまわすと今度は全体が口内のぬめりに包まれる。しばらくは任せていたが、耐えきれなくなった。僕は両手で彼女の頭を強く掴むと激しく前後に揺さぶり、分身を出し入れする。そして頂に達する瞬間は絶対に離すまいと彼女の頭を押えつけ、できるだけ深くねじ込んで――吐き出した。彼女は上目遣いで僕を見上げたまま

 直後、頭に血が上って怒りのままに彼女の顔を殴りつけた。


「だましやがったな!」


 床に倒れ込んだ彼女の両足をむりやり開き、問答無用で挿入する。前戯もしていないのに、分身はすんなりと沈んだ。馬乗りでもう一度殴りつけ、両手で彼女の首を絞める。苦しそうにあえぐが、本気だとは思えない。僕は部屋に用意されていた一本鞭を手に取ると、全力で彼女に打ちつける。全身のいたるところをえぐり、高熱の鉄で肌を焼き、血のような赤い液体をまき散らす。彼女を徹底的に打ち壊して――ようやく僕はひと息ついた。えぐれた彼女のうなじから極小の電子基板を乱雑にむしり取る。


「商品は生の女のはずじゃなかったのかよ」


 安モノの慰安人形セクサロイドなんて寄越しやがって。――悪質な斡旋業者の詐欺に嵌まった。事実を再認識すると無性に腹が立ち、僕は掌で彼女の小さな脳を握り潰した。

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