外伝部 双子[ジェミニ]

双子(ジェミニ)


ねえあたし。

[なんだ、もう一人の俺。]

あたしたちはいつも一人に見えるようにしている。

[またその話か]

あたしたちが二人一緒に生きられる世界はないのかな。

[俺たちは異物だ。虐げられる。理解を求めるのは難しい。]

どうしてだろうね。

[人は、自分が理解できない異質なものは唾棄したくなるものさ。]

そうか…。

[だけど、生きていけそうな場所がある]

なぁに?

[これさ。]

体を勝手に動かされる。私の心の同居人は、交代のタイミングを知らせてくれない。

もう一人のあたしは、パソコンをカタカタと打っている。

[ほれ、見てみな]

んん?Newworld…?オンラインゲーム?

[ああ…ここなら二キャラ持てば、お互い別に生きられるだろ?]

んー…あたしはそれはやだな。

[どうして…?]

体が一つしかないもの。きっと取り合いになる。ケンカはやだよ。

[そうか…ではどうする?]

んー…初めてのことだからね…わかんないや…。

[ふむ…まあとりあえず始めて見るか。]

そうだね。

片割れがゲームを起動する。

テクスチャの美しい草原の画面が見える。青々としげっている。

片割れはそんな景色にも興味を示さず。スタートボタンを押す。

キャラクターの作成。

[うーん…どうするよ…?]

うーん。とりあえずここをこうして…。

そういった感じでキャラクターの作成を進めていく。あたしにも片割れにも、本当の姿は存在しない。ココロの形、あいまいな存在。それがあたしたち。

[もしかしたら、このキャラクターが俺たちの真の姿になるのかもしれないな]

そうかもしれない。あたしたちに姿かたちはない。でも、ここがあたしたちの生きとし生ける場所であるなら、このキャラクターこそあたしたちの真の姿なのかもしれない。

次にクラス。たくさん魅力的なのがあるけど…あたしのしたいのは決まってる。いいでしょ?そのくらい決めても。

[ったく。どーせこの刀のやつだろ?わかってるよ。]

選んだのは刀剣士。刀で敵を切り裂いていくクラスだ。あたしは刀に目がない。このゲームにもしも拳銃を使う職業があったら、きっとケンカになっていたかもしれない。だって片割れ、無類の銃好きだし。

[わるかったな銃好きで。]

別に悪いとかいってないもーん。ほーら始まるよ。

最後に名前…うーん…

[名前変更があとでできるみたいだし…とりあえず適当に…]

片割れはキャラに鶺鴒せきれいとつけた。

ゲームが始まる。

大きな扉が現れる。チュートリアルのおねーさんの話はガン無視。

[うるさいだけだもの。それよりこのゲームを楽しもうよ]

ふふふ…そうだね。

あたしたちは野をかける。なんかクエストみたいなのがあるけど知ったことか。

[俺たちは俺たちだ。ここでは二人できっと生きていける。だって俺らのココロを、覗けるやつはいないもの]

敵を斬り裂いて、赤い花を咲かせて。

[俺らは俺らだ。戦いは俺らを表現する]

あたしはあたしだ。戦いはあたしらを確固たるものとする。

でも少し疲れたな…。

[そうか?俺はまだまだだけど。]

うーん…。寝よ?

[ああ…そうだな…]

パソコンの電源を消す。真っ暗な闇に包まれて、星々の世界にいざなわれる。



翌日、学校では無口ちゃん。誰も気に留めないし、あたしはそれでよかった。

[俺らのことにちゃちゃを入れられると、余計ややこしくなってしまう。]


ON…。

START……

LOADING………

ゲームが始まる。

[やっと居場所へ帰ってこれる。俺らが生きられる世界。]

次に戦って面白い敵は…。

[ここは…松の木?森か…]

そこには松の森。わらわらと亜人たちがそこにいる。…いや…もうひとり…誰かいる…?

[楓って人が…松の木で何かしている…?楓なのに…]

松の木に張り付いて…なにかしている…?何かの儀式…?

[わからない…]

じーっと観察していた。その時だった。

幽奈「ギルド、【夜桜輪廻】!初心者からベテランまで募集しています!みんなでわいわいやりたい方!気軽に私、幽奈か楓まで!」

あの人このギルドの人だったのか…

[なるほどな…。どうする…?関わってみるか…?]

うーん…相手は人間だよ…?関わって引かれたら…。

[うーん…どうだろうかね…]

これ見よがしに広告をはるギルド。でもあたしたちは他人とのかかわりに全く興味がない。

[いい機会だし入ってみるか?]

でも、他人と摩擦ができちゃったらどうしよう。

[その時は抜ければいいんさ。深く考えずにいこうぜ。]

まったく…その無鉄砲はどうにかならないの?

[まいいか。とりあえず声をかけてみてくれ。俺は威圧的すぎる。]

まったく…。

鶺鴒「すみません。」

幽奈ってひとのほうにピンクを送る。接しやすそうだし。

幽奈「お?お?はじめましてー!!!」

鶺鴒「初めまして。ギルドの広告をみたんですけど…」

幽奈「お?おおおおおおお!!!入ってみる???」

鶺鴒「ぜひ、まずは体験してみたいです。」

幽奈「うんうん!よろしくね!!えーっと…」

鶺鴒「ああ、これでセキレイって読むです。よろしくお願いします。」

幽奈「おっけ!じゃあさそうねー!!!」

ギルドのお誘いがくる。ちょっと戸惑ったあとにエンターキーを勢いよく押す。もちろんあたしじゃない。

楓「松の樹液の精霊ってなんだよwwwww」

幽奈「違うの?」

フェルト「お?初めましてーw」

貴族ぷりん「はじめましてー」

だいごろう「初めまして!」

悠気「初めまして^^」

ダンテハーツ「ちゃぁっす!!」

お魚マン「初めましてー!!!」

鶺鴒「初めまして、鶺鴒と書いてセキレイといいます。どうぞよろしくです。」

印象。とにかく明るい。まぶしいくらいだ。

[絆が深そうだ。これは楽しそうだな。]

輪に入っていけなかったらどうしよう。

[ぶっちゃけ俺もそこだけが心配なんだよな。なれ合いは苦手だ。]

うん…。受け入れてもらえるかな?

ちょっと不安で、ちょっと期待。

自分から人を避けてきた

[今回はちょっと勇気をだしてみた。]

他人とのかかわり方がわからない。

[挑戦。俺たちの挑戦。]

そこまで大したものじゃないよ。楽しいことがもっと楽しくなればいいの。

[そうだね。]

場を共有する楽しみ。どんなものなのか、初体験だ。

追い出されるか…それとも受け入れてもらえるか。

[人には変えがたい特徴がいくつかある。それは人のとらえ方によって弱点にも強みにもなる。]

あたしたちはその中でも特異なほうなのかもしれない。

[もっとも、俺たちの知る狭い世界での話だが。]

そのあと2、3質問された。初心者かーとか、雰囲気どうーとか。

雰囲気は…まあ楽しい。

[ただどう話していいかわからなかった。]

雰囲気を楽しんでいるけど。ここにいない感じ。

[最初だしな。しかたがない。]

これからどうなっていくだろうね…

[うん…楽しみだ]

どう話したらいいのかな…?

[お前の口癖でも試したらどうだ?]

やだよ恥ずかしい。

[じゃあ俺がやるよ]

ちょっ…まっ!!

鶺鴒「にゃん」

悠気「わん」

貴族ぷりん「ヒヒーン」

幽奈「動物園になった??!」

だいごろう「犬や猫はともかく馬www」

貴族ぷりん「なにをいう。馬は気高く神聖な生き物なんだぞ!?」

お魚マン「殺しても何にもならないしな」

はずかしいよぉ…

[いつもにゃんにゃん言ってくるくせに、ここだと恥ずかしいのか?]

むー…だってぇ…あ、こら。にやにやしないのー!

[いひゃひゃひゃ!ちょ、ひゃめ!]

むーむー!お仕置きー!

[こら!ぽかぽか叩くなって!]

まったくもー。

ん…でも、こんな感じでいいのかな?わからないけど。

[わからない。けど、誰かが楽しんでくれるのならいいんじゃないかな。]

うん…。とりあえず感触はいい感じかな。



数日後。

貴族ぷりん「拠点どこおく?」

ダンデハーツ「うっはw大砲の弾たっかいw」

だいごろう「あ、この辺バリケードもろいよー」

まあまちまちやっている。今日は戦争、というものがあるらしい。対人コンテンツだとか…

[対人か…。装備もととのってないけど…大丈夫なの…?]

あいや、あたしたち兵器らしいから装備関係ないらしいよ?

[ほむ…。うーん…]

どうしたの?

[うーん。戦争俺に全部まかせてくれない?]

えぇ…。だってバーサーカーするじゃん…。テンション上がったら何しでかすかわかんないし…

[兵器だし平気平気]

寒い。審議拒否。極刑。

[わーごめんってごめんって!]

むー…わかったよ。ただしハッスルしたらすぐ交代だからね?

[はいはい。ん…体。借りるよ?]

うん。わかってるよ。体からすっと力が抜けていく。

[体にすっと力がみなぎる。戦争の夜。今夜は楽しくなりそうだ。すると後に誰か現れた。くるっとカメラを回すとそこにいたのは幽奈さんだった]

幽奈「むぎゅぅー」

[立っているだけだが、抱き着いてくる情景が容易に思い浮かぶ。]

鶺鴒「びっくりしたよ。よしよし」

[相方の物まねは慣れているが、ここでもすることになるとはな]

幽奈「えへへーっ。お姉ちゃん!」

鶺鴒「いつからお姉ちゃんになった!?」

幽奈「んー…今!」

[むちゃくちゃだな…]

でもかわいいしいいじゃん。

[まあ…確かにな。]

鶺鴒「よしよしわが妹よ。いい子だからちょっと離れて準備しような?」

幽奈「えー(´・ω・`)」

えー。

鶺鴒「えーじゃないのー!」

[はいはい。]

なにこの扱いの差!

[身内だしな。まったく…]

むーむーっ。

[だからお前も抱き着くな!]

鶺鴒「ちゃんと準備する子がおねーちゃんすきだなー」

幽奈「にゃっにゃっ!はーい!!」

[幽奈はどこかへ走り去っていった。だからお前も離れてくれ。]

やーだぁー離さないー。

[まったく…でもたまにはいいかな。こんなのも…]

数時間たって、戦争がはじまる。

[お前は控えな。この兵器は…炎を噴き出すのか…。敵を焼き尽くす…ふふふ…楽しみだ…。敵が攻めてくる…。2…いや3人か…あとすこし…射程圏内に…はいった!トリガーを引いて炎を噴き出す。2人巻き込んだ。HPが3分の1削れる。まだ射程範囲内だ…。もう一発!敵のHPは残りミリだ!そのとき、味方がやってきて敵のHPを削り切った]

幽奈「ぐっきる」

[さっきの奴らはおそらく先遣隊だろう。これからどっと押し寄せてくる。ふふふ…楽しみだ]

鶺鴒「ふふふふふふ…」

[思わずチャットに発してしまう。ココロの声がダダ漏れだ。だがそんなことは知ったことか、やってくる敵はすべて焼き払い、すべてを灰に…灰に灰に…]

あ…ダメだこれは…。チェンジ!ちぇーんじ!!

[ふふふ…こんな楽しいこと途中でやめられるかよ…せっかく表に出てきたんだし。]

全く…自分で事後処理はやってよね?

[ふふふふふ…]

貴族ぷりん「あ、たまに降りて残弾確認してね。F1でみれるから」

[なるほど、降りて確認してみる。…あと98発か…たりるか…?]

楓「5人ほどそっちへ行ってる」

幽奈「了解よ」

[5人か…ふふふ…楽しみだ…。敵はすぐそこまで来ていた。少しHPが削れていたが、それでもほぼ満タンに近かった。

敵もなかなか手練れだった。上手くこちらの射程範囲の外から攻め込んでくる。味方は決して弱いわけではないが、それは相手も同じことだ。両者硬直状態だ。2人組と3人組で分かれ居ていて、倒しに持っていけない。

その時だ、一人まんまと射程範囲にはいった。いまだ!一気にトリガーを引く。HPが減ったため、一人倒すことができた。いやっふー!]

鶺鴒「いやっふー!」

幽奈「ナイス!」

[残るは四人、ぷりんさんは名前のわりに硬い。さすが貴族のぷりんといったところか。上手く兵器側へとおびき寄せようとするも、遠距離からの攻撃でなかなか難しい様だ。するとぷりんさんは回り込むように遠距離から弓を撃ってる人の背後に回る。急いで弓の人は後ろに下がるが…そこは射程範囲内だぜ。2人目焼却完了。

さすがに二人やられてか、残りの人たちはこっちを警戒しているようだ。三人はやけを起こしたのか、一気にこっちを取り囲むように攻めてきた。だが無意味だ。3人一気に焼却。その後も一進一退の攻防を続け。終戦時刻へ。結局お互いに半分も砦のHPを削れずに終わった。]

貴族ぷりん「お疲れー」

だいごろう「おつかれさまー!!」

お魚マン「おつかれー」

フェルト「おつつw」

楓「お疲れ様でしたー!!」

ダンテハーツ「おつかれー!」

悠気「おつかれさまでした^^」

幽奈「おつおつー」

鶺鴒「おつかれさまでした。」

[ふう…楽しかった…。やっぱりいいな戦いは…]

まったく…飛ばしすぎだよ…もぅ…。

[すると、突然ベルが鳴った。ピンクが来た時の音だ…。チャット欄に目を向ける。差出人は…]

幽奈「やっはろー!」

[幽奈さんか…やば…俺この人と話したことないぞ…]

事後処理するって言ったっしょー。がんばってね!

[ちょ…おい!あー…えっと…]

鶺鴒「どうも」

幽奈「どーもー!!!」

[テンションの高い人だ…。きっと相当恵まれた環境に包まれて、幸せに日々を過ごしてきたのだろうか…。そう考えると少し、この人がうらやましく思えて仕方ない。]

鶺鴒「どうしました?」

幽奈「いいえーっ!戦争だったけどどーかなーって!」

鶺鴒「結構たのしかったですよ」

幽奈「よかったぁ。私も兵器だったけどすごい動き良かったですよー」

鶺鴒「ありがとうです」

[こんな感じだろうか…。相槌くらいしか返せない。]

幽奈「ところで…」

[ドキッと胸が引き締まる]

幽奈「答えられたらでいいんだけど…もしかして二人でプレイしてる…?」

[ドキドキっとさらに心臓が高鳴る。やばいやばいどう答えたらいいんだろ…おーい!おーい!!!]

zzz…

「ああくっそ!こんな時に限って寝てやがって!」

鶺鴒「ええ…まぁ…」

[相槌。きっぱりと否定することもできず、はっきりと肯定することもできなかった。どっちも正解で、どっちも外れているから]

幽奈「じぃぃぃぃぃ」

鶺鴒「どうしました?」

幽奈「ちょっと失礼なことを聞いていい…?」

[ドクン…ドクン…ドクン…。何を聞かれるんだろう…ちょっとこわい。]

鶺鴒「どうぞ」

[チャット欄ではこう粋がっていられるが、内心恐れおびえている。俺という存在がむき出しになるんじゃないか。いやそれはいい。もしかしたら気味悪がられるかもしれない。こんな楽しい場所を、俺が分かれているということで失ってしまうかもしれない。]

幽奈「もしかして、二重人格…とか…?」

[ドキッ!!!心臓を貫かれたような気分だった。核心。俺の、俺らの核心。二人三脚であること。]

鶺鴒「どうして…そう思うのです?」

幽奈「やっぱり!戦争中に急に言葉遣いとか変わったからさ。ちょっと証拠不十分かもしれないけどもしかしたらと思って」

[ちょっと違うけど大体あってる。正確にはそのちょっと前から変わってたけど…]

鶺鴒「そうですか…」

[ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…。やばい…やばいかもしれない…。ばれた……。ええいもう!ここまで来たら聞き返してしまえ]

鶺鴒「幽奈さん。こっちからも一つ聞いていいです?」

[口より先に手が動いていた。考えていられるほど余裕はない。本当。無意識の本能だった]

鶺鴒「幽奈さんは…俺たちのこと…引かないんですか?」

幽奈「ふぇ…どうして?引く要素なくない?」

[ドクン!!!!再び、一番強い鼓動。引かれなかった…引かれない…引かれなかった…]

幽奈「別に二重人格でもなんでも、ここじゃ関係ないっしょ?あなたはあなた、そしてもう一人のあなたは、もう一人のあなた、だよっ!」

[なんだかすぅーっと胸の中から何かが抜けていくような感覚。重荷をおろしたかのような、そんな感じ]

鶺鴒「うん…」

幽奈「もいっこ質問!」

鶺鴒「うん」

幽奈「あなたのお名前は?」

[俺の…名前…?考えたこともなかった…]

そうだねー。考えたこともなかったね状況。

[いつから起きていた…?]

最初からっ。あーいたいいたい!!

[こーらーっ]

鶺鴒「名前は…今のところは…ないです…」

幽奈「おおー!!!まじか!んー…」

鶺鴒「でも…うん。名前ほしいかも」

[名前。自分を体現する大切な言葉…。俺は俺であると証明できる言葉。認識。他人からの認識。それをわかりやすくするための言葉。戦うこと以外の、他人の認識によって自分を感じる。]

幽奈「んーと…。名前思いつきそう?」

鶺鴒「うーん…」

幽奈「もしよかったらいい名前があるけど…どう?」

鶺鴒「どんなものです?」

幽奈「ここでの出会いを喜んで、えにし…とかどう?名前的にも縁起いいし!」

[縁…か…なかなか悪くない。どう思う?]

ん…あたしはいいと思うよ。ねっ縁っ。

[早速使ってるし]

幽奈「んーと…それでもう一人のほうは。」

鶺鴒「もう一人の方は決まってます」

幽奈「お?どんなの?教えて教えて!」

[ん…仕返しだ。ほら、考えてみな]

あー!にげるなー!!むぅー…。でも縁…ときたら…。

鶺鴒「あたしはまなっていうの」

幽奈「おー!!いい名前だね!!」

鶺鴒「ん…お気に入り。」

幽奈「ほほー!!よかった!!」

鶺鴒「うん。ねぇ幽奈さん」

幽奈「ん?なぁにー?」

鶺鴒「このことはしーっでお願いしますね?」

幽奈「どして?」

鶺鴒「だって人によっては苦手だったりする人もいるかもだし」

幽奈「うーん…それはたぶん大丈夫だよっ。みんなゼッタイ受け入れてくれる。まあ愛ちゃんが望まないならやらないけどっ」

鶺鴒「うーん…ちょっと相談」

幽奈「はーい!」

どうする…?いっそ知ってもらう…?

[俺としてはそのほうがいいかも。戦争とかそっちの方が動きやすいし…俺もみんなと話してみたい]

ん…あたしもその意見に半分賛成かな。主に後半部。

[なんだよその打ち分けはー]

だってバーサーカーするじゃん?

[兵器だし平気へいっゴフッ…お腹はだめぇ!]

鶺鴒「うん。相談したけど…期を見てみんなに伝えたいかも…でも、今はいいや」

幽奈「わかった!じゃあちょうどいいときに言ってね?おせっかい失礼しいましたー!!」

一気に動いたあたしたちの心…。誰にも知らせにくかったことが…たったこの、この一瞬だけですべて氷解した。

特異。特殊。でもあたしたちは全然そんなんじゃない。体が一つってこと以外は、ただの普通の人間なんだ。ただの…普通の。


[そういえばさ]

ん?なぁに?

[今更だけど鶺鴒って名前やっぱダサいな。]

えー結構お気に入りなんだけどなぁ。

[名前を変更する権利は俺にあるはずだぜ。]

じゃぁどうするん?

[んー…そうだなぁ…ふと思いついたのが。]

うんうん。

[命って灯に例えられるだろ…?それを葬るのが俺の性分だし…それを合わせて…]

だっさ。

[いいだろー思いついたんだから。ほら、変えるぞ。]

そうして片割れは、名前変更権の切符を切った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る