オイシイ関係3-4
最後に運ばれたのは、ちゃんと窓のある病室らしきところだった。そして真っ当な吸血鬼用の食事を食べさせられた。それには、相応の血液も添えられていた。数日間の空腹のせいで全て食べることはできなかったものの、血を飲めば、自分が獣じみた何かからだんだん人に戻るような気がして、皮肉にも安心した。
栄養剤の点滴を片手にベッドに横たわりながら、備え付けの小さなテレビを見る。画面の左上には、『緊急会見生放送 果たして吸血鬼とは⁉』といういかにもな文字が並んでいた。十数分前に始まった会見は、主要人が登場しただけでしばらくカメラのフラッシュの音が鳴りやまないほどだった。その中心に居座った遠野は、それに物怖じすることなく営業スマイルを浮かべていた。
『報道陣の皆さん、そして全国民、全世界の皆さん、大変長らくお待たせいたしました。これから予定通り、説明を執り行おうと思います。本日から特別官房長官に就任した遠野です。吸血鬼ですが異論は認めません。今回の計画の発案者でもあります。』
遠野は人のよさそうな笑みを浮かべながら、つらつらと自己紹介をする。それだけで絶え間なく報道機関のフラッシュが鳴り響き、画面はほとんど真っ白になった。
『4日前に起こりました事件で我々吸血鬼の存在が露見し、国民の皆様には多大なご迷惑とご心労をおかけいたしました。大まかな説明をすることもなく、テキストの配布のみで本日まで皆様をお待たせしてしまったこと、誠に申し訳なく思っています。しかし今回の取り組みによって、皆様には説明する以上にご理解いただけたことも多いかと思います。これから説明いたしますことも含めまして、吸血鬼の存在についてお考えいただけますよう尽力いたします。』
拍手の代わりとでもいうように、カメラのフラッシュは未だに遠野を包み込んでいる。それでも変わらず話し続ける遠野はさすがというべきか、年相応の迫力があった。
『この会見を持って今回の計画は終了となります。さて、皆さんには、吸血鬼についてのテキストをお渡しの上、血液の摂取と食事を絶った吸血鬼と一般人の共同生活をTV中継とネット配信によって24時間放送し、吸血鬼の危険性についてご検討いただきました。この実験により、安全性についてはご確認できたと思います。実際、吸血鬼が自ら血の摂取を絶つことも、何日も食事を絶つことはありませんが、そうなった場合でも人間の力で処理できることが証明できました。ご協力ありがとうございました。』
もう一度お辞儀をすると、またもフラッシュが瞬く。いい加減、目がちかちかしてきたところで、遠野はある冊子を取り出した。
『全国民にお配りしたテキストにもあります通り、吸血鬼は古く昔から存在し、一部の関係者を除いて吸血鬼の存在は隠ぺいされてきました。私達の存在は、簡単に言えば、動物の血しか好んで食すことができない特殊な味覚の持ち主です。見た目や体の構造は皆様人間と何ら変わりはありません。現在、我々吸血鬼は専門の教育機関を作り、吸血鬼としての教育のみならず、人間社会の中で一定以上の功績をあげられるような教育を施してまいりました。その結果、この国の重要人には必ずと言っていいほど吸血鬼が存在するようになった。』
僕らが監禁されていた間に色々と説明が行われていたようだが、吸血鬼についてどの程度説明がなされたのか。これは後で確かめておかねばなるまい。
『その中で、私は疑問を持ったのです。何故、社会や世界でこれだけ貢献している私達が隠されなければならないのか。私達が人間について学んでいるのに、吸血鬼について学ぶ人間がいないのか。人間の学校の教科書にはあれだけ『公平』を謳っておきながら、我々が相応の扱いを受けないのは何故か。これは同じ人類として、扱いがおかしいのではないか。』
遠野はさぞ悔しそうな顔をして見せた。
『さらに吸血鬼という立場にある私は考えたのです。吸血鬼は変わったのだと。昔のように、虐げられるだけの危険な存在でないことを。教育を整備し、国の重要機関に知識、技術を提供できるようになった。しかも、国の平均的な人間たちよりもはるかに高度な人員育成をなし得ている。今なら、人間と分かり合えるのではないか。せめて、人間と同等に扱ってもらえるのではないか。…と。』
それではお前らが同等以上じゃないかというツッコミを入れる者はいない。熱弁する遠野は野次を入れられないほどの気迫があるのだ。
『そうしてあの事件が起きたことをきっかけに、政府の方々に掛け合い、このような機会を設けていただくこととなった所存でございます。』
ここで遠野がニヤリと笑った気がした。
『今回実験に協力してくれた人間の男性が全て代弁してくれました。我々が言いたいことはあれが全てです。僕ら吸血鬼も人間の形をしていて、同じ感情を持っていて、一緒にわだかまりなく暮らしたい。そのために生きてきました。誰だって、幸せになる権利がある。これがただの理想論、希望論であることは重々承知しています。でも、その努力を、少しくらい認めてはいただけませんでしょうか。』
そうして、遠野は深く深く頭を下げた。
『ご検討の程、よろしくお願いいたします。』
他の主要人も席を立ち「よろしくお願いいたします」と続いた。
その間も、カメラのフラッシュは変わらずけたたましく鳴り響いていた。
『それでは次に、研究者による分析を…。』
そこでテレビの電源を切った。ここから先は、事実を並べ、無知な人間達を言いくるめるための茶番に過ぎない。僕が見たところで皮肉ばかりが出てくるに決まっている。そんなことに使う労力はもう残っていない。それなら、少しでも回復して、ここから出ることの方が先決だ。
体をベッドに預けると、一気に緊張が抜けたのが分かった。自分の出番が終わったのだと、やっと理解した。すると食後特有の眠気に襲われる。
僕は欲望のまま脱力し、ゆっくりと目を閉じた。
○ ○ ○
部屋のドアがノックされた音で目が覚めた。まだ陽が高いのを見ると、そんなに長時間は経っていないようだ。「どうぞ」と声をかけると、会見を終えたらしい遠野が入ってくる。会見はこの建物内で行われていたらしく、ここへ直行したようだ。さすがに疲れた様子で、ドカッとベッドに腰かけた。2人分の重みに、ベッドがぎしりと悲鳴を上げる。
「もう会見はいいんですか?」
「あとは資料用に作った映像と、もっと口が達者な奴に任せたよ。私はあくまで発案しただけだからね。ところで会見見てくれた?かっこよかっただろ?」
さっきまで熱弁を揮っていた人物とは思えない言動だが、こちらの方が素なのだろう。勝手に親近感を持たれるのはいいが、こちらは会話に気が抜けないので少々鬱陶しい。
「簡潔にまとまっていたんじゃないですか?とりあえず、反感は買わなかったと思いますよ。どうせ、手回しはしてあるんでしょう?」
「もちろん。情報操作は基本中の基本だからねぇ。」
そこまで言った時、友人が部屋に入ってきた。彼は別室で医師の診断と栄養剤の投与を受けていたのだ。1日しか本格的な監禁扱いをされていないこともあって、体調はもう平気そうだ。
「おっ…取込み中か?」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「ノックくらいするもんだよ。少年。」
首元を緩め、ベッドにジャケットをほおる遠野は、達成感のあふれた顔をしていた。幾分初めて会った時よりも生き生きしている。
「少年って年でもないスけど…。」
「私に比べたら少年のようなものさ。君は特に精神年齢が低そうだしね。」
「そりゃ…吸血鬼に比べたら俺は子どもっぽいかもしれないスけど…。」
「何か用があったんじゃないですか。」
遠野に遊ばれていた友人に助け船を出す。これ以上遠野の楽しそうな顔と、友人の情けない顔を見たくはない。
「帰っていいって言われた。アンタの調子はどう?」
「じゃあ着替えますよ。」
僕はベッドから体を起こして伸びをする。太陽の光があふれるこの部屋は、閉じ込められていた部屋より何倍も心地よい。こういうときばかりは吸血鬼が太陽の光に弱くなくて良かったと思う。
点滴を引き抜き、自分で止血処理をする。友人が備えつけの棚を開けると、捕まった時に着ていた服とコートがきれいにたたんで置いてあった。ここ何日かで胸や腹周りが大分細くなってしまったので、数日は食物の摂取量を多くした方がよさそうだ。
僕が患者服を脱ぎ、ズボンをはき終えたところで「ゴホン…」とわざとらしい咳払いの声が聞こえた。自然とその音の発信源に視線が集まる。その張本人である遠野はベッドに腰かけたまま自嘲気味に笑っていた。
「帰る前に、老人の戯言に付き合ってくれないか?」
僕はかまわず服を袖に通した。
「どうせ、嫌だって言っても聞かせるんでしょ?」
「じゃあ、これは独り言だがね。」
僕らが黙っていると、遠野は案の上勝手に話し始めた。
「私は中学生の頃、先生に恋をしていてね。先生の夫が浮気していることは分かっていたし、その先生が不憫でならなかった。先生も、僕を気に入ってくれていた。子どもを作ることができないのは分かっていたから、結婚はしてくれなくても良かった。でもね。私は子どもなりに、何も知らない先生に、自分の本当の姿を知って欲しかったんだ。だから修学旅行の時に先生を呼び出して、自分が吸血鬼であることを告げたのさ。」
遠野は虚空を見つめている。口調もいつもの軽口というわけではなく、だからと言って会見の時のような重々しさもない。子どもに戻ってしまったような、思ったことをそのまま言葉にしているような話し方だった。
「それでどうなったと思う?」
彼の死んだような目が全てを物語っている。だが、僕らは何も答えなかった。遠野本人も、僕らに返答を求めているわけではないだろう。
遠野は渇いた笑いとともに自答した。
「先生は僕のことを異常だと罵った。僕は『先生のお気に入りの生徒』から、『頭がおかしいおかしな生徒』に降格したんだよ。離婚直後で彼女の精神状態も良くなかったんだろうね。ヒステリックになってしまってね。それをなだめようとしたら逆に突き飛ばされて、私は階段から落ちてしまったんだ。そしたらこの様だよ。おかしいったらないね。」
引きずっていた足を撫で、壊れたように笑う遠野を止める者はいない。
一人称が私から僕に変わっている事にも気づいていないようだった。
僕はその気持ちが痛いほど分かっていた。自分が理解できない出来事に遭遇した大人がする行動は、信じることじゃない。拒絶することだ。しかも、未熟な子ども相手なら、なおさら。
僕も幾度となく経験してきたことだった。
「いくら説明したところで相手にされない。それどころか、彼女は僕に見向きもしなくなっていった。そうして僕は悟ったのさ。人間の愚かさを。そして幼いながら考えた。変えなければならないのは吸血鬼ではない。人間の教育を変えるべきだと。僕のように、吸血鬼としての自分を受け入れられずに散っていった吸血鬼は少なくない。むしろ、信じてもらえる方が少ない。そこに確かに存在しているのに。目の前にいるのに。信じてもらえない。そんなの可笑しいじゃないか。何故僕達が傷つかなければならないんだ?」
吸血鬼は幼い頃から人間は愚かな存在だと教育される。それは、吸血鬼が自分が存在することやそれを拒否されることに諦めがつくようにするためでもある。
しかし、吸血鬼といえまだ子どもの彼らはそう割り切れずに、いっちょ前に傷ついてしまう。そうして、心を閉ざしていく。それも吸血鬼であるデメリットだ。
「教科書にだって平等が書いてあるのに、何故そこに僕達が含まれない?それどころか知ろうとしない?」
教科書なんてものは人間の作った物。それを読み、真実を知っている僕らがどれだけ絶望するのか、人間たちは知っているだろうか。
「おかしいんだよ。おかしい。ははっ。おかしいよねぇ。僕達はここにいるのに。」
僕たちはここにいて、人間と同じように息を吸い、食事をし、仕事をし、生活している。それなのに根本が違うという。それを突きつけられる、僕たち吸血鬼の気持ちが、どれだけ理解されているだろうか。
「だからさ。この計画にかけた。何も知らずに生活している人間にも猶予を与えたんだ。もしも失敗したら、吸血鬼による完全な支配社会を作るつもりだった。でもこうなったからには、みんなが吸血鬼について知っている世界を作る。作って見せる。今まで目を背けてきた現実を突き付ける。社会が混乱したって知ったこっちゃない。それは人間たちが私達にしてきた扱いに比べれば安いことだ。それどころかそれを私達が直々に鎮静までしてあげるんだ。本当に感謝して欲しいよねぇ。」
「満足しましたか?」
ひとしきり笑い終わった遠野に向かってひと言告げると、やっと目が据わった。白昼夢でも見ていたかのようにぼんやりしている。
「あぁ。とりあえず基盤は作った。改革はこれからさ。アイツらを見返してやる。友人君の話を聞いて、気が変わったんだ。僕ら双方が納得できる幸せな理想が実現できるように…そんな風に思えるようになった。今までの僕が馬鹿みたいだよ。これから、ようやく僕らの時代がやって来る。協力してくれるね?」
そう言って手を差し伸べる。その手は僕と友人両方に向けられていた。
しかし、僕はそれを取ることなく、友人の腕を取った。
手を差し伸べたままの遠野とその手を取ろうとしていた友人が呆けた顔をする。それにかまわず、僕は高圧的な態度を意識して言った。
「必要な時は呼びなさい。今度はちゃんとした方法で。そして、とびきりのディナーを用意して。いいですね。」
「おいっ!アンタっ!」
何かに焦って抜けそうになる友人の腕をもっと強く握りしめる。それだけで友人の抵抗は弱くなった。
「あなたはもう一度考え直すべきだ。彼の何を聞いていたのですか?人間は利用する対象じゃない。変化を強制するべきではない。一緒に歩むべき生き物だ。吸血鬼と人間の差?そんなものを作ったのはお互い様じゃないですか。いつまでも対立していては何も解決しない。それはバカな大人でも分かるでしょう?そのための協力ならしますよ。」
遠野は何かに気付いたようだった。これで彼は正気に戻るだろう。彼の目的は復讐のための改革じゃない。あくまで、これからの未来、人間と吸血鬼が共に何のしがらみもなく対等に暮らすことができる世界を作る改革だ。そこをはき違えてしまっていては元も子もない。遠野が吸血鬼と人間の共存についていかにして考え付いたかは今関係ない。問題は感情論に流されず、あの会見で言ったことをちゃんと実現することだ。
「冷静に対処せよ。…それをお忘れなく。」
僕は友人の腕をつかんだまま、出口に向かって歩き出した。友人は遠野の方を気にして何度も振り向くが、立ち止まろうとはしない。
友人にも分かったのだろう。
遠野の目に、光が宿ったことも。
僕の目が笑っていることも。
これから、世界が変わることも。
なぜなら彼は、目を見るのが好きだから。
彼が優しい人だから。
○ ○ ○
外に出ると、僕等がいたのは吸血鬼が所有している都内のビルだったことが分かった。僕はタクシーに乗り込んでから、やっと友人の腕を離した。座った途端、疲労感がこみ上げる。それは彼も同じようで、座席にうずまっていた。
「お疲れ様でした。」
「アンタもな。まさかこんなことになるなんてな。」
「さすがの僕も驚きましたよ。これから大変なことになりそうですね。」
「そうだな。」
吸血鬼の実態の説明、今までの国の対応説明、吸血鬼に関する法の制定、人間からのクレームの対応…やることは多そうだ。それでも、今まではどうにか社会で動いていたんだ。会社をクビになったり、いきなり差別対象になったりすることはないだろう。しかもあの遠野のことである。まだまだ策があるはずだ。
僕が自宅の住所を告げると、車は早々に走り出した。
「そうだ。僕らの関係に名前を付けようって言ってたじゃないですか。」
「それ今言うことかよ…。あぁ…でも、なんかずっと前の出来事のような気がすんな…。ここ何日か、色んなことがありすぎてさ。」
「同感です。」
2人して自嘲気味に笑った。
「それで?それがどうかしたか?」
「『オイシイ関係』ってどうですか?」
「…なんだそれ。」
「共依存っていうのも何だかしっくりこない気がして…。どうせなら、僕たちで新しく造語を作ろうと思って…。」
「そこに至るのも、アンタらしいな。」
ふかふかの座席は居心地が悪いようで、友人は何回も体勢を変えていた。
「お互いにギブアンドテイクなわけですし、食事もするでしょう?二重の意味で『オイシイ』ってことでどうです?」
僕がおどけて言うと、彼は愉快そうに笑った。
「そりゃいいや。もうどうにでもなれ!」
「それはそれで酷い言い方ですね。」
「俺は疲れてるんだよ。腹も減ったし眠いしついでに何日も無断欠勤かました会社に行くのも怖ぇ。」
「あはは。確かに。君らしいですね。」
2人で笑うと安心する。
僕は脱力した彼の手を引き寄せて、ゆっくり握った。
「何?」
「少し、こうしていていいですか。」
「別にいいけど…。」
握り返される手は冷えていたが、しばらくすると熱くなった。それをもっと感じたくて、さらに手に力を込める。
「僕、初めて友達の手を握りました。」
「嘘つけ。なんかしらあんだろ。」
「必要に迫られて義務的に、エスコートとして、とかならありますけど。こんな風に、自発的に、目的もなく握るのは初めてです。」
目をつむれば彼の鼓動が伝わってくる。
僕より少し速い、僕と同じ脈の音がする。
吸血鬼と人間は、もともと同じものなのだと、改めて感じる。
彼と一緒にいてもいいんだと、改めて感じられる。
「マサトさん。」
初めて彼の名前を呼んだ。
今までは、照れくさくて言えなかった3文字。
僕と同じ名前。それ故に呼べなかった名前。
彼が僕の方を見たのが分かったが、僕は目をつぶったまま、言った。
「君さえよければ、また食事をしませんか。」
彼を初めに誘った言葉。
でも、あの時とは少し違う意味の言葉。
違う言葉。
「君が、結婚するまででも…この関係に飽きるまででもいい。だからこれからも――。」
握っていた手がこれまで以上の強さで握られた。それが、肯定を表していること知って、僕は目を閉じたまま、破顔する。
「あったりめぇだろ。何があってもずっとだ。」
頬を流れる涙は、僕が初めて流した、自分のための涙だ。
僕はもう1人じゃない。
彼がいる。
この関係が続く限り、僕は1人じゃない。
この『オイシイ関係』はきっと、何があったとしても、続くことだろう。
それが楽しみでもあり、心地よくもあり、怖くもある。
大切なものを手に入れたとしても、それを失う恐怖が付きまとう。
それまで取り除くのは至難の業だ。
それでも人は《大切なもの》を作りたがる。
確かめるために。
すがるために。
生きるために。
僕にとってのそれが、この関係だったというだけで、何らおかしいことはない。
他人に否定されようが、関係ない。
自分にとっての宝は、他人にとってはガラクタにだって見えることもあるし、その逆もある。
でも、それを知ろうとする努力さえすればいい。
それを伝えようと努力すればいい。
君らにとって関係とはどういうものだろうか。
どうやって手に入れたのだろうか。
それは大切なものだろうか。
大切にしているだろうか。
その関係が、君らにとって、人生を変えるような、素敵なものであることを祈る。
「泣いてんじゃねーよ。バーカ…。」
鼻をすする友人の声を聞きながら、僕も手を握り返す。
僕らは泣きながら、ずっと『オイシイ関係』を続けること誓った。
そうして、僕らは僕らの形に名前を付けた。
○ ○ ○
これが僕と彼の告白の話。
そしてその後の変化の話。
何かを許し、許される話。
変化によって起こった話。
君は何を感じただろうか。
誰かに受け入れてもらえること、受け入れることの素晴らしさを少しは知ってもらえただろうか。
自分にとって重要なことは、他人にとっては必ずしも重要なことではない。世の中には色々な人がいる。本当に多くの意味でたくさんの人がいる。だが残念なことに、それを知らずしてくすぶっている人も多くいる。それに全てを知ることは不可能だ。でも、それは皆同じある。だからといって引きこもっていては結局は何も変わらない。
だから、君も誰かに告白をしてみてはどうだろうか。
少し、深呼吸して。
少し、勇気を出して。
少し、心を開いて。
少し、速く鼓動する心臓の音を感じながら。
君なりの『告白』を。
君なりの『オイシイ関係』を。
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