青やみどりのイルミネーションに彩られた1月のこと-1


年末から時々ちらつく雪が今日も降っては溶け、降っては溶けを繰り返していた。


年末にした約束を果たすため、青真と翠は三が日も過ぎ人のまばらになった神社にそれぞれで向かっていた。わざわざ待ち合わせをせずとも家から一緒に行けばいい話なのだが、待ち合わせをしたのは青真がそれを譲らなかったからである。



話は12月までさかのぼる。12月、青真が白斗と2人で久しぶりに出かけた日、青真は電話越しに翠に提案していた。


「ねぇ、翠。今年のクリスマス、一緒に出かけないか?できれば、2人で。翠に話したいことがあるんだ。」


その後にはこう続いていた。


「クリスマス、もう予定が入っているなら初詣でもいい。いつも朱里と紫苑も一緒に4人で集まっていたけど、2人には俺から断り入れておくから。」


そんな内容だった。しかしそれはどちらも未だ叶っていなかった。よりによってクリスマスイブに熱を出しインフルエンザだと診断された青真は、1月ももう8日になるまで風邪をこじらせ、9日の今日ようやく外に出ることができたのだった。

謝り倒す青真に、翠は一言だけ言った。


「別に遅くなったとしたも風邪が治ってから行けばいいじゃない。」


そして今に至るのである。



足早に神社へ向かう青真は、文字通り誰がどう見ても急いでいた。いつものバッグを背中にまわし、手には淡いみどり色の袋を提げて、歩いているのか走っているのか形容するのに迷うスピードでおそらく歩いていた。


俺ってこんなに情けないやつだったっけ。せっかく白斗に後押ししてもらって電話して、2人きりの約束までこぎつけたのに、そんなタイミングでインフルエンザにかかるなんて。しかしその後しつこい風邪はなかなか治らないし。やっと、やっと会える。

青真は嬉しさと自責の念を抱えながら、今は焦りに追われていた。

神社まで普通に歩いて20分。待ち合わせ時間まであと10分。なのに家を出たのは2分前。間に合わなかったら、それこそ最悪だ…。



焦っている青真のことなど知らず、翠はもう神社へ着くところだった。何も考えていなさそうな顔で颯爽と歩く翠だが、見る人が見れば翠の頭の中がどれほど忙しく動いているか分かっただろう。


青真、どうして待ち合わせにしたのかしら。私があんな風に押し切られるなんて初めてだわ。そういえば道の途中前にも後ろにも青真を見かけないけれど…。早く着いちゃっているのかな、それとも遅れている?どっちだろう。待ち合わせすること自体初めてだから変な気持ちね。…最近、青真のことになると極端に調子が狂うわ…。

文化祭のことを思い出し顔を真っ赤に染めた頃、翠は神社へ着いた。青真はまだいない。赤面したことに恥ずかしくなった翠は、誰がどう見ても何も考えていない顔で青真を待つ。

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