青の空広がる4月のこと-1


新学期が始まる。なんだかむずがゆい季節。別に俺が花粉症だってわけではないからね?


まだ登校してくる生徒もまばらな少し早い時間。俺はみんなより早く登校して勉強を、というわけではなく、早く登校して花に水やりを、というわけでももちろんなく、だが少し早い時間に登校してきた。この時期の毎年恒例のあの様子にどうにも疲れてきたからだ。

少し早く登校してきたからいいものの、これが通常どおりであったらどうなるか。いつものあいつらと一緒に登校しては、周りから夫婦だのなんだのからかわれるのは目に見えている。


そんなってしまうのも必然なのだろうか。もはや教員たちのいじめのようにも思えるし、いや、やはりありがたく思った方がいいのかもと思いもする。



あいつらとは小さい頃からずっと一緒だった。今でこそ1人新たな仲間を招き入れたが、これまではずっと4人で一緒だったんだ。


自己紹介が遅れたな、俺は青真。周りの奴らに言わせると俺はムードメーカー的存在らしい。実のところ俺がどんなに考えているか知らないから言えることだろうが、こう言われることは嫌ではないし誇らしくさえ思う。

俺には3人の幼なじみがいる。紫苑、朱里、そして翠だ。お互い、せいくん、しーくん、あかりちゃん、みどりちゃん、と舌ったらずな声で呼んでいた頃からずっと一緒だった。


家がお隣、もしくは真向かいだったりと近いから、登下校はいつも一緒だった。

中学に入ってからはなんとクラスまで4人一緒という徹底ぶり。

そのせいで俺らは新学期が来るたびにからかわれる対象となるのだ。ちなみにからかうななんて言うと、「愛あるゆえのいじりだ!問題なし!」なんて堂々というやつがいるから困ったものだ。


まぁそういうことで、俺は少し早く来ている。

いや、早く来ていたんだ、昨日まではな。

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