第23話 クラブ

 合宿が終わった次の日、ユウキはユナとミライ三人でディアボロとクラブを買いに行った。ショップは、いつも通る道にあったが、入ったのは小学生になる前に父親と一緒に来た以来だ。あの頃と比べて随分店も大きくなったな。ジャグリングする人が増えたのかな、そう思った。すると店員さんが尋ねてきた。

「君達ジャグリングするの? どこの高校?」

「神戸山手高校です」

「ああ、神戸山手高校か。確かリョウ君の妹がいるところだね。どれをするの?」

「ディアボロとクラブです」

「そう、新製品も入荷したし、好きなの選んでね、あっ、こっちにスペースがあるから回してみてもいいよ」

「ミライ、あたしこの後用事があるから先にディアボロ買ってもいい?」

「いいよ」

「ユウキ、一緒にディアボロ選んで」

「うん」

二人はディアボロを選び始めた。

「これにしよ」

ユナはあまり迷うことなく藍色を選んだ。

「渋い色が好きなんだね」

「気に入った? あたしに似合うでしょ」

たユナはポーズを決めながらそう言って買い物を終え、さっさと帰って行った。ふぅ、ユウキの緊張が少しおさまると、ミライは

「ジャグリングって色々な道具があるのね。ユウキは何を持ってるの?」

「家には、ボール、ディアボロ、デビルスティック、シガーボックス、あっリングもあったかな」

「クラブは持ってないの?」

ミライは振り返りながら不思議そうに聞いた。

「うん…… 昔は十本くらいあったけど捨てたんだ……」

「……そう、ユウキは何色がいい?」

ミライはユウキの気持ちを察しあえて理由を聞かなかった。

「えっ、そうだね、アカリは赤、リョウ先輩はシルバーだからそれ以外にしたいな。ミライはどう?」

「うん、あたしは緑かな。これなんかどう?」

と指をさしながら言った。

「うん、いいよ」

そういえば、父親は青色が好きだったし、緑の道具を使うのは初めてだな。心機一転できそうだ。ユウキは単純にそう思った。

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