第21話 交流

 合宿二日目。

「なんでリョウと十クラブパッシングをしたの?」

誰もが疑問に思っていた質問をシホがした。

「気になりますか? せ・ん・ぱ・い」

アカリが意味ありげに聞き返した。

「ウッ」

とシホは言葉をつまらせた。

「リョウはあたしのお兄ちゃん。小さい頃から一緒に練習してたの」

そう言うとシホは真っ赤な顔をして

「あっそう」

と恥ずかしそうに答えた。ユウキは昨日の十クラブパッシングが頭から離れず、一人、練習に集中出来ずにいた。アカリの凄さと自分にはできないという歯がゆさだけが脳裏に焼き付いた。練習も終わり、昼食を済ませ、みんな海に入った。日差しがギラギラと照り付ける暑い日だったこともあり、海は気持ちよかった。

「クラブやらないの?」

リョウがユウキに話しかけてきた。

「えっ、あっ、今はやってないです」

雲の上の存在の人に話しかけられ、慌てた様子で答えた。

「そう、君は素質があるから、練習すればきっとうまくなれるよ。がんばってね」

そう言ってリョウはみんなのところに行った。クラブをやりたい、でも……、ユウキは悩んだ。小さい頃、父ちゃんとクラブパッシングの練習をしたが、ミスばかりでよく怒られた。それが嫌でジャグリングをやめたからだ。しばらく悩んだが、悩む前にやってみよう、このサークルには仲間がいるし、何といってもアカリと一緒に練習できるかもしれないしな、そう言い聞かせた。その日の夜、海辺で花火をした。ユウキはアカリの親友のミライに話しかけた。

「一緒に線香花火しよ」

「うん、いいよ。何か話たいことあるの?」

「うん。ミライはアカリと小学生のころから一緒なんでしょ。アカリと同じようにクラブもしようと思っているの?」

「うん、したいとは思っているけどアカリは凄すぎてついていけないわ。それよりユウキはクラブしないの? やればきっと上手になると思うよ」

「うん……、実はしたいと思ってるんだ……だから一緒に練習してくれない?」

ユウキは思い切って誘ってみた。

「いいよ。分からないことがあったら、アカリに聞けるしね。アカリは色々教えてくれるよ。ねぇ、合宿が終わったらクラブ買いに行かない?」

「うん」

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