第8話 ミライ入部と・・・
入学式から二週間がたった。新入生もユウキのほかに四人入部した。ユウキは小さい頃クラブパッシングと一人で練習できるボールをメインに練習していたため、三ボールの技はもちろん、五ボールのカスケードができた。あと、ディアボロは父の影響もあり、そこそこの技ができた。そのおかげもあり、新入生からいろいろ教えてほしいと頼まれることも多かった。楽しかった。今はやるだけやってみる、それだけしか考えなかった。
アカリと入学式で知り合った友人ミチルとカナは軽音学部、マリとユカはバドミントン部へ、ミライはそろそろサークルを決めたいと思っていたが、アカリはまだ迷っている様子だった。放課後、ユウキたちが練習していると、アカリはミライと後ろめたい気持ちで、通り過ぎようとした。ユウキはすぐに、あの子だ、と気づいた。なんとかして話しをと思い練習を止め、声をかけようとしたその時、ミライがすっとシホに近づき話しかけた。
「あの、私、初心者ですけど入部したいです」
するとシホは、一瞬びっくりし、声を詰まらせたが、
「大歓迎よ」
と、いつも通りの上から目線で受け入れてくれた。
「エッ」
アカリは何が起こったのかまだ理解できていない感じでボー然とした。ミライとは小学生時代からいつも一緒で、これからも一緒に入れると思っていたからだ。ミライはサークルの輪に溶け込みすぐに練習を始めだした。その姿を少し離れた場所からアカリは一人ポツンと見ていた。ユウキは話しかけたかったが、向こうは僕のことを知らないしなと思うと話しかけられなかった。入学式のあのパフォーマンスでサークルの人はみんなアカリのことを知っているはずだったが、誰一人アカリに声をかける人はいなかった。どうしよう……、アカリは悩んだ。バドミントン部からも誘いがあるけど、ジャグリングも捨てられない。それにミライとも一緒にしたいし……頭の中がいっぱいだった。ふと周りをみると、ミライが三ボールの練習をしていた。一時間程しただろうか、アカリはついに決意して、シホに近づいた。
「あの……私、入部したいです……」
と蚊の鳴くような声で話した。
「聞こえへん」
とシホは冷たく切り捨てた。
アカリはカッとなり、大きな声で
「私もこのサークルに入部したいですっ」
必死に叫びシホを睨みつけた。あまりに大きな声だったため、全員練習をやめ声のしたほうへ振り向いた。シホはアカリの顔を見て鼻で笑いながら言った。
「大歓迎よ」
すぐにミライが駆け寄って
「よかったねアカリ」
とうれしそうに飛びついた。アカリはホッとしてその場に座り込んだ。サークルの人全員が拍手でアカリを向かい入れた。やっと決心したわね。これでこのサークルも活気づくわね。それにしてもあのミライって子やるわね、シホはミライのことが気になった。
あの子と一緒に練習ができる。ユウキの心は高ぶっていた。
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