第4話 迷い

 この子すごいわ。シホがアカリ達をサークルに勧誘しようとしていたその時、

「もしかしてアカリ? 何してるの?」

と二人の女の子の大きな声がシホの声をさえぎった。それは、中学時代バドミントンの県大会で優勝を争った、マリとユカだった。この二人はスポーツ推薦で神戸山手高校に入学してきたため、当然バドミントン部に入部する予定だ。まずい……、アカリは知らんぷりをしようと思ったが、機転を利かし

「知り合いの先輩がいて……」

と答えた。マリは

「神戸山手高校は三年連続インターハイに出場しているし、全国大会シングルスベスト四のアカリとダブルスベスト八のミライ、そして私たちがバドミントン部に入部すれば最強ね。一緒にバドミントン部見に行こうよ。どうせアカリとミライも推薦でしょ?」

と誘ってきた。

「ごめん今日は約束があって……」

その煮え切らない返事はアカリの心をそのまま表していた。

「そう、じゃまたね。一緒にバドミントンしようね。バイバイ」

そう言って二人はバドミントン部を見に行った。

「フー」

あの二人も同じ高校だったんだ。アカリは少し気まずい感じが頭から離れなかった。一方、友人のミライは中学からしてきたバドミントン部に入部すると思っていたが、アカリと同じサークルに入り高校生活を楽しみたいという気持ちが大きく、とまどっていた。迷いを隠しきれない二人にシホは

「決心がついたらいつでも連絡してきて」

とアカリ達を無理矢理引っ張ろうとせず、連絡先だけ教えてくれた。アカリたちは結局その日は入部せず、ミチル達と約束どおり、夜ご飯を食べに行った。

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