第107話 いいわけ大晦日

 今年もあと一時間でおしまい

 時間が経つのは速い


 この前入学したと思ったら来年は高三

 きっと気が付いたら卒業してたりする


 でも 今年は結構がんばったかも

 あいつと普通に話せるようになったし


 同じクラスになれたのも大きかったけど

 これって私的には大大大進歩


 あっ クリスマスに誘わなかったのは理由わけがあるの

 コロナが流行ってるから密を避けないといけないから


 初詣に誘わなかったのだってちゃんと理由わけがある

 何年かに一度の大雪が降るのに外出するのは非常識だから


 どちらもやむを得ない事情ってやつ

 大丈夫 来年誘えば済む話だから


 あけおめメールだってバッチリ

 話題作りの誤字も抜かりなし


 二〇二二年なんてバカ丸出し

 だけど インパクトは大きいでしょ?


 あいつ 突っ込んでくれるかな?

 電話でも掛けてくれたら言うことなし


 来年もイイ年になればいいな

 できたら今年の倍ぐらいイイ年を希望


 でも あいつもバタバタなんだろうな

 私と同じで気が付いたら卒業かもね


 あっ あいつどこの大学受けるんだろう?

 もしかしたら遠くの大学に行っちゃったりして


 その前にクラスがいっしょになる保証なんかないし

 クラスが別々ってヤバくない? 無茶苦茶ヤバイっしょ!


 年が明けたら光陰矢の如し待ったなし状態

 一分一秒だって無駄にできない


 大晦日だからってのんびりしてていいの?

 あいつとの距離は少しも縮まらないじゃない?


 残された時間はあとわずか

 のんびりしてる余裕なんかナッシング


 どうしよう あいつに電話でもしようかな

 でも 何を話せばいいんだろう


 コロナのこと? 雪のこと?

 わざとらしいよね もっと自然な話題じゃないと


 そうだ! これならいける!


 来年の約束をするの

 いっしょにクリスマスと初詣に出掛ける約束


 来年の話をしたら鬼が笑う? それがどうしたの?

 笑いたいヤツには笑わせておけばいい


 決めた! これから電話する!

 ここでやってやるんだから!








 



 やっぱり年が明けてからにしよう

 鬼に笑われるのは避けた方がいいと思うから



 RAY

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る