第106話 クールガールのデート事情


「そんな薄着で寒くない?」


 肩をすぼめるボクを見て

 心配そうにキミは言う


「今日は気温が低いらしい」


 それはボクもわかってる

 天気予報でチェック済み


「熱でも出たら大変だ」


 それは確かに困りもの

 だってキミに会えないから


「どこか店でも入ろうか?」


 気持ちはすごくうれしいけれど

 みつが怖いと返すボク


「大丈夫? 風邪ひくよ」


 キミの言葉に合わせるように

 ボクの口からクシュンがひとつ


「ほら、言わんこっちゃない」


 ボクのクシャミに合わせるように

 キミの口からため息ひとつ


「しょうがないな。本当に」


 ボクの肩を抱き寄せて

 キミはボクをぎゅっとする


「これで少しはマシになった?」


 ううん マシどころじゃない

 心も身体も南国気分


「どうしてそんな薄着なの?」


 キミの質問 当たり前

 ボクの服装 非常識


 だけど 理由は言えないの

 こうして欲しかっただなんて


 そっとキミに頬寄せて

 はにかみながらささやいた


 —―冷えた女クールガールの温め役 

 お願いしたらご迷惑?――



 RAY

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