第104話 見えざる手
少し
伸ばした手は目に見えない
でも 届いたことは確信した
キミがボクに手を伸ばしてくれたから
キミの見えざる手を
少し恥ずかしかった
でも すごくうれしかった
リアルでは小さな子でもできる簡単なこと
ただ バーチャルでは結構難しい
理由は二つ
一つは 知らない相手へ手を伸ばすのに抵抗があるから
もう一つは 伸ばした手が見えないから
正確に言えば 最初は見えないけれど見えるようになる
言葉を交わしていくうちに目に映るようになる
ふと何かが心に触れているのを感じる
優しくて温かくて心地良い何か
でも 油断は禁物
一度手を離したら見つけるのは容易じゃない
喩えるなら宇宙で落とし物をしたようなもの
三秒あれば友達になれるけれど
三秒後には他人になってもおかしくない
それが バーチャル世界
二人の間に温度差があればすぐに離れ離れ
見えざる手の不確実性は人と人の距離を遠くする
手を伸ばすのを
でも 互いの手がはっきり見えたのは特別なこと
それは つながるべくしてつながった証し
見えざる手は見えないわけじゃないの
二人にしか見えないものなの
だから その手を離さないで
ボクにキミを感じさせて
いつまでも ずっと
RAY
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