第103話 嬉しくて悔しくて
カクヨムのベルマークが点灯した
それは彼女の近況ノート更新のお知らせ
リアルが多忙でバーチャルから遠ざかっていた彼女
彼女の発信はかれこれ半年ぶり
嬉しい気持ちが身体中に広がる
すぐに彼女の元へと飛んで行った
でも そんな気持ちはすぐに吹き飛んだ
内容が予想と全く違っていたから
そこには 深い悲しみに沈む彼女がいた
心身に大きなダメージを負った彼女がいた
近況ノートは復帰ではなく休止延長のお知らせ
短い言の葉さえも必死に紡いだのが伝わってきた
ノートはコメントができない仕様になっていた
仮に可能だとしても何を言っても役には立てないと思った
嬉しい気持ちは悲しい気持ちに変わった
そして いつしか悔しい気持ちに変わっていた
発信した言葉はそれ自体が力を宿す
受信した言葉は内包した力を誰かに伝える
言葉には不思議な力があると信じていた
本格的に文章を書き始めた頃から強く意識するようになった
でも そんな自信が薄れていくのを感じた
言葉は無力なのではないかと思った
――ずっと待ってるから――
そんな一言を残すのがやっとだった
自己満足だと思いながら書かずにはいられなかった
ぼやけたパソコンの画面をしばらく見つめていた
悔しさのやり場を見つけられないまま
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