第99話 こころ千切れて

 プツリと切れた キミからの電話

 夕暮れの歩道でボクの時間が止まる


 耳から離せないスマートフォン

 離した瞬間 すべてが終わると思ったから


 泣きだしそうな 灰色の空

 湿った風が空っぽの心を吹き抜ける

 

 胸の鼓動に合わせてズキズキする心

 今にも千切れて飛んでいきそう


 ――ボクはどうなってしまうの?――


 断末魔だんまつまのように心が発した問い掛け

 答えが返ってこないのはわかってるのに


 ポツリと落ちてきた 大粒のしずく

 ポツポツはすぐにザーザーへと変わる


 ポツンと立ち尽くす 表情のない濡れネズミ

 行き交う人がいぶかしい眼差しを向ける


 泣いてなんかいない 涙なんか出るわけがない

 ボクは心が千切れた人形なのだから



 RAY

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