涙腺崩壊ポイント


 確実に涙が溢れるポイント。

 人それぞれあるのでは無いでしょうか。


 僕の場合、『銀河鉄道999』の(知らない人はお父さん、お母さん、もしくはお祖父ちゃん、お祖母ちゃんに聞いてください)ゴダイゴの主題歌が流れ、星野鉄郎が遠く見つめる先に、腕を組み鉄郎を見守るハーロックが立っている。

 これだけで、涙腺がゆるみます。

 これは具体的な場面や、作品なのですが、シチュエーションとして涙腺崩壊する確率が高い設定もあります。


それは、タイムリープもの


『時をかける少女』を筆頭に、『いま会いに行きます』とか、最近だと『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』なんかがあります。

 ぼくは明日… これは頭が痛くなるほど泣きました。

 なぜだか分かりませんが、時を越えた純愛は、確実に涙腺を破壊される自信があるのです。確実に泣くんだから、自分がその設定で書けばいいんですけど、うまい展開なんか考えられないんですね。


 きっと純愛にするからダメなんだ、戦争ものと絡めよう。

 こんなのどうだろう。

 夏休み、気が乗らない己維人きいと少年は、ふて腐れながら、田舎に帰ります。

 小学校時代は喜々としてお祖母ちゃんの家に遊びに行ったのですが、高校生にもなると、お祖母ちゃんの待つ田舎は、何も無さ過ぎて退屈なのです。

 一人で留守番すると、あれ程言い張ったのに、父親は許してくれません。

「あと何度、お祖母ちゃんに会えるか本当に分からないんだぞ?」

 そんなことを言われる始末です。

 お盆の帰省で久しぶり家族全員で訪れようと決めていたのもそういう理由からなのでしょうか。

 田舎に着くと、お祖母ちゃんは暖かく皆を迎え、全員でお祖父ちゃんのお墓参りをします。お墓参りの後、夏の暑さにやられた己維人は、近くの海まで涼みに出かけます。普段、かなりの浅瀬の海なので、己維人は何の警戒もしていませんでした。

 でも、浅瀬とはいえ、急にありえない位置まで海の水が引いていきます。遠くでだれかが大きな声でこっちに何かを言っているようです。その声を聞こうと振り返った時、見たことのないような大きな波が押し寄せて、己維人を飲み込みます。

『ごぼっ、ごぼっ、…もしかして…このまま…死…んで…』

そのまま意識が遠くなる己維人。


 気が付くと一人の男の人が、己維人に声をかけ続けています。

『大丈夫か君? しっかりしろ、大丈夫か?」

 その人は、回天に搭乗することが決まり、つかの間の休暇をもらって帰省していた祖父だったのです。己維人は昭和20年にタイムリープしていたのです…


 太平洋戦争というものをちゃんと学校で学んだことも無く、なぜ日本が戦争を始めたのか具体的に理解している訳でもない自分の戦争観を掘り下げながらこの物語を完成させれば、何か意味があるんじゃないか?

 なんて考え『自分と戦争と日本について』をテーマに、凄い小説書けるんじゃないか、今年の夏、ずっとその先の展開を考えてました。

 

 そんな時、本屋さんで見かけた荻原浩の小説、『ぼくたちの戦争』

 タイトルが気になります。

 ネットで検索し、隣の市の図書館にあることを確認。その図書館のカードも持ってます。

 借りて一気に読みました。


 ネタかぶりが、こんなに、ツライことだとは… 今落ちた雫は涙だね…


 違う意味で涙腺が崩壊しました。

 だいたい、みんな考えることは一緒のようです。





 

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