徒然なるままに


 祝、3日坊主回避。

 3日続けるのがひとつの目標。第一関門クリアです。

 やったね!自分! ミッションコンプリート!


 さて、こういうエッセイっぽいものを書いていると、必ずといって古典文学の2大巨塔が頭をよぎります。


 枕草子と徒然草。


 今日は徒然草の一節から少し『書く』ということについて考えてみます。


 つれづれなるままに、日暮らし

 硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを

 そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。


 徒然草の冒頭です。

 ここで吉田兼好は、やることが無いので硯に向かいます。

 30歳前後で出家、隠居しちゃうくらいなので、あの時代そりゃ、やることないでしょうね。

 そして、ココロに『うつりゆくよしなしごと』を、あてもなく書き始めます。

『うつりゆくよしなしごと』は、『ふと思い浮かぶあんなことやこんなこと』ってとこでしょうか、響きがいいのでそのまま使いました。


 さぁ、ここでクエスチョン。

 吉田兼好は、この『書き』モノを誰かに見せるつもりだった?


 あの時代、出版会社なんてありません。ましてや『エッセイコンテスト、大賞には100万円』なんて、公募もないでしょう。

 つれづれに書いたので徒然草。

 読み手を想定して書いてはいないのではないでしょうか。

 ただ、そんな独白のような作品の中身は、やたら哲学的だったり、今の創作に携わる者が肝に銘じておくべきようなことを、サラっと書いてあったりします。

 興味がある方は、毎日ちょっとづつでも読んでみてはどうでしょうか。


 内容は置いといて、出版社もなければ、公募もない、ましてや誰かに書いてくれと頼まれた訳でもないのに、何気なしに書き始めたものが後世に残る名作となる。

 今まで自分が『書く』という行為に対して取ってきた行動と真逆です。


 僕だけじゃないと思いますが、『書こう』と決意する。

 次にすることが、今募集中の文学賞や新人賞なんかを探す。

 締め切りに間に合いそうな賞を見つけたら、それに応募することを目標に書き始める。大賞取れるといいな、出版されて本が売れて、専業作家になったら自分の自由な時間を満喫しつつ、好きな時間に働く。素晴らしい作家人生バンザイ!

 なんて想像しながら、肝心のお話はいっこうに書き上がらないか、書き上がってもどこが面白いんだかチンプンカンプン。

 そんな繰り返しならまだしも、書こう書こうで10年経っちゃったなんて話もザラにあるのではないでしょうか。


 まずは、『心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書く』

 それで自分が読み返して面白いお話だったら、それに合った公募先を探す。

 応募したらそれっきり、ソワソワして結果を待つのではなくて、次の作品に取り組む。そして、何作か書き上げ、すっかり小説の賞に応募していたことを忘れかけた頃、出版社から電話がきて

「あなたの応募した作品が大賞を受賞いたしました」

なんて知らせを受け取るんです。

 ああ、確かに今年の初めに書き上げた作品があったな、我ながら面白いと思って送ったんだが、やっぱりプロの目から見ても面白いものなんだ。

 なんて、ボヤキ節で驚いてみるのです。


 …… サウイフモノニ ワタシハナリタイ


 


 

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