05 装備変更

 緋月がこの世界へと来てから六日目。この日はサケマグロの森での報酬をもらうことになっていた。


 報酬は全部で約五千万だ。それを緋月を除いた五人で分けた。


 本当は緋月を含めた六人で分ける予定だったんだけどな。緋月の所持品が一億円以上になるということが分かった時点で緋月が辞退していたためだ。


 緋月の野菜の種はまだ換金出来てはいなかったが。


 この日にはアイシスさんも到着していたが、野菜の種は国連環境計画に持って行くのに際して移送用に人を呼ぶことになっていた。


 だが緋月の荷物も野菜類以外は換金が済んでおり俺が初日に貸したお金も返してもらっている。緋月は野菜を除いた雑貨類だけでも五百万円ほどの資金を得ていた。



 俺も緋月もまとまった金が手に入ったので六日目には買い物にもでかける。緋月と綾ちゃんだけでも良かったはずだが俺も買い忘れなどがあるはずとのことで三人で行くことになっていた。


 服屋で二人にどんな服がいいかと聞かれた時には一瞬後悔もしたが。だが俺はそこで引き下がるような男ではなかったので趣味全開で二人に着させたい服を選んでやった。


 ……後悔はしていない。選んだ後で二人がひそひそと俺の服の趣味について話していた気はするが微塵も後悔はしていない。



 その後はガンショップにも寄った。俺も店内を見て回る。


 今回の俺の所持金は一千万。前に来た時は百万円しか持っていなかったが今日は十倍の資金がある。前回買えなかった物も買うことができるのだ。


 例えばミニミ軽機関銃。これはパンネ御用達のマシンガンだが八九式より強力な銃だ。値段は約百万円。前回は他にも必要な物があったために買えなかった品だ。


 だがあまり乗り気はしなかった。正直、八九式でさえまだ持て余してる感があるからな。


 マグロードを倒した後に魔力は吸収していたので俺の魔力量もかなり上がっている感じはする。今の感じなら八九式を全弾撃つのは問題なくいけそうだ。だがミニミの方はまだ全弾撃てない感じがするのだ。


 力量以上の武器を買ってもあまり意味はない。それにミニミは速射性と弾数の方に分がある感じでもあるしな。一発の威力が桁違いに強くなるわけではない。


 雑魚を相手にする分には正直拳銃だけで十分なのだ。問題はマグロードのような強敵が現れた場合だ。


 そしてその時に必要なのは一発の威力であって弾数ではない。そういう面でミニミはあまり魅力的な武器ではなかった。


 ボス戦専用と言うならスナイパーライフルの方がいいのかも知れない。


 例えば魔法銃。


 まあ……魔法銃の方は三千万円なので今回も資金が足りないわけだが。しかし普通のスナイパーライフルなら買うことができる。


 例えば対物ライフルのバレットM82。ぶっちゃけこの店で売っている魔法銃とすごく形が似ている。というか魔法銃の方がこのバレットM82をベースに作られていた。


 バレットM82自体の威力も折り紙つきで戦車は貫けなくても車やコンクリートの壁くらいなら平気で貫通する。


 魔法銃の方なら戦車も吹き飛ばすだろう。そして俺が使えばバレットM82で魔法銃以上の威力も出すことができる。


 俺はバレットM82を買うことに決めた。店の人に聞くと需要がないため少し値が張ると言う話だったが。二百万円なら手が出ない額ではなかったので問題はなかった。



 緋月は拳銃のベレッタM92を二丁買っていた。銃まで俺と同じかと思ったがそもそも置いてある拳銃の種類が少ないので仕方がないとも言える。


 緋月は他に手榴弾なども見ていたがそれは俺が買うのを止めた。前回俺は手榴弾も買っていたのだが、後で試したら能力が乗らないことが分かったためだ。


 ただし銃であれば小銃や機関銃にも能力は乗る。そのため緋月にも八九式や対物ライフルを買う選択肢はある。だがここまで俺と合わせるつもりはないようだった。


「常識的に考えてそれは大きすぎるだろう」


 俺が背中に担ぐ対物ライフルを見ての緋月の感想がそれだった。


 その緋月が選んだのはサブマシンガンだ。


 H&K MP7。一言で言うと……小さいサブマシンガンだ。ぶっちゃけ片手で持てる。


 アサルトライフルである八九式より威力は落ちるが拳銃よりは当然強い。そして毎秒十発以上の連射性を誇る。雑魚相手にはすごく使えそうな銃だ。


 雑魚相手なら威力は拳銃程度でいい。欲しいのは装弾数や連射性能だ。それだけを見ればMP7は八九式に見劣りしない性能がある。


 威力が低い分一発に消費する魔力量も少なくできるはずだ。しかも小さいので両手で二丁持てる。


 これはいいかも知れない。俺もMP7を二丁買うことに決めた。


「私とおそろいか?」


 とか緋月に言われたが気にしない。拳銃の方は俺が買ったのが先だしな。それに俺には対物ライフルもある。


 そしてそもそも能力が同じなんだから有効な武器も同じなのは当然だった。


 そんなわけで俺は今回バレットM82一丁とMP7二丁を購入した。MP7は八九式よりマイナーらしくて一丁四十万近くしたが気にしない。他に弾薬や何やらも細かく買って合計でだいたい三百万円。


 緋月はMP7二丁にベレッタ二丁、その他小物を買っていた。こっちは合計で百万円ちょっとってところだ。


 サケマグロの森に行った時よりさらに装備が充実した。もし緋月も一緒に戦闘するなら戦力はさらに二倍になるのか。



 緋月がどれだけ戦えるかは検証が必要だが。買い物も済んだことだし明日は演習場に行くべきだろうな。

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