モイとミー その1

俺様は犬が好きである。

「ロキ」という柴犬を飼っていたのだがアレのせいでぐれないですんだ高校時代もあるくらい。

もちろん小学生の時から犬好きでありました。

俺が小学校はいる前からだろうか母方のじーちゃんとこで日本犬の雑種飼ってたんデス

かなり人懐っこい吼えない犬でそれを見てきたせいか物心付いたときには犬が好きになってました。

ただ小さい室内犬はザーマス系のおばちゃんが抱えているイメージが強くて昔から苦手だった。

腹が減ってもキャンキャン泣くからうるさくてかなわん。

つーか昔から妹が犬苦手で特に泣き声が嫌いらしく一緒に歩いていると犬見るたびに恐怖してた。

その様が目に焼きついてるんでキャンキャン吼える犬がウザいんだろうな、ビビる妹もウザイし(汗。

猫もじーちゃんとこで多いときで10匹くらい飼ってたんだが猫はまたの機会に・・・。

まぁ犬猫に限らず動物は好きなんだが特に犬が好きだったのである。


俺が小学3年生のことです。

当時我々ガキ共の中では秘密基地を作るのが流行ってました。

当時よく遊んでいたのが3年生の初めの頃引越ししてきた「Tちゃん」。

彼は漫画を書くのが上手く「スペースコブタ」「Tちゃんマン」という

二大キャラを駆使して漫画を描きクラスの人気者であった。

小学生の癖に画力があり当時キン肉マンに夢中だった我々は彼の藁半紙の連載を

毎日楽しみに学校に行っていたくらいである。

そしてうちの近所で1/60ガンプラを数体持っている「Uたん」。

こいつがすげぇムカツク奴でかなり性格が悪い奴だった。

その頃よくプラモをみんなで持ち寄り遊んでいたんだがプラモ持ってないと仲間に入れなかったりする奴で

ガキ大将系の奴にはペコペコする世渡り上手な細身で背の高いスネオ見たいな感じ。

もう一人ちょっと離れたとこに住んでた女の子と間違えそうなくらい可愛い「Kちゃん」。

性格もよくすげぇいい奴なんだが振る舞いがオヤジ臭かった、見た目可愛いのに可愛がられないタイプ。

そんな4人で秘密基地を探して歩き回ってたときのことです。


Tちゃんの家の近くの駐車場でダンボールを漁ってた我々(ホームレス?。

Kちゃんと俺はダンボールを小脇に抱え後の2人のいるところに向かいました。

TちゃんとUたんはなんか屈みこんで小さいダンボールを見ていました。

俺らも一緒に中を見てみると一匹の小さい子犬がいるではないですか。

毛布に包まれて一人で歩けるくらいの子犬でした。

黒くて何の雑種かわかんないけど耳が小さく毛が少ない犬でした。

Uたんは木の棒で犬をつついてます、Tちゃんは観察してるだけです。

もちろん正義感の無駄にある俺はUたんを押しのけます。

「なにすんねん!」とUたん激怒(MOI当時関西圏在住)。

俺とUたんはよくこんな風に喧嘩してました、それはさておき。

Kちゃんはずれた毛布をしっかり犬に包みなおしてました。

彼は小さい妹がいたようで世話好きでそういうところに気が利くのである。

Tちゃんは犬を見てなんかネタを考えてるだけです。

ふと我々は思いつきました。


秘密基地でこの犬飼おうゼ!と。


Kちゃんは大賛成、Uたんは番犬になるかと妥協、

Tちゃんは地面に新しく思いついた超人をチョークで書いてました(もちろん犬超人。

早速以前作成した秘密基地に連れて行くことにします。

通学途中にある空き地の草むらにダンボールと布袋をかぶせた第一秘密基地。

俺が今の面子意外と作ってみんな忘れてしまったので再利用させてもらった場所である。

拾ってきた週刊誌や万引きしてきたお菓子の食べかすなど散乱しているが広いので子供3人は入れる広さだった。

Uたんはでかいので外で見張りをさせ我々は中で犬を見守る。

とりあえず拾ってきた容器に水を入れ犬に飲ませるが呑まない。

Kちゃんが牛乳なら飲むんじゃないかとの提案をしたのでTちゃんがミルクを飼ってくることになり牛乳を飲ませる。

彼は母子家庭でもしものためにいつも大金を忍ばせていたのでそういう時はいつも頼りになっていた。

子犬は牛乳を飲みだしたがいまいち元気がない、そりゃそうだろう、かなり長い間放置されていた模様だしな。

とりあえずしばらく犬を見守り俺らは解散、明日の夕方再集合ということになる。


翌朝基地が通学途中なので近所のUたんと一緒に犬の様子を見る。

帰り際に入れておいた牛乳を全部飲み干して寝ていた。

安心して学校に行き経過をその他二人にも報告。

夕方妹の世話のあるKちゃん以外が集まり犬を見守る。

Uたんが「この犬片目おかしいでぇ」とか抜かす。

確かに片目が変な方向を向いている。

どこかにぶつけたんじゃない?と軽く流して犬を抱き上げる。

元気が出てきたのか小さい泣き声が聞えるようになる。

ただこの犬、ミーミーって鳴いてたんだよね、犬なのに。

単純だったけど泣き声から名前を「ミー」と名づける俺。

3日目にはちゃんと歩くことができるようになり基地からでて草むらの中で遊ばせたりした。

動きの遅い犬だったけど徐々に動けるようになっていたのは4人とも素直に喜べた。

1週間くらい俺たちの秘密基地と学校と家の往復は続きました。


続くのです。

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