第2話
人々は我々の事を弱者と呼んだ。
始めは抗って、強者として存在しようとしていたものの、少しずつ何かを知る内に嫌々ながらもそれを納得してしまった。
「私には出来ない事ばかりなのだ」と。
そして今日もまた、私は全てを諦めた弱者の一人として諦めない者達を俯瞰するように膝を抱えていた。
相変わらずのノイズが現れる。今日のは明るめの声音だった。確固たる姿や性格が無いからなのか、一貫性というものは今までで一度も感じなかった。
「そう言えば聞いてなかったね、どうして諦めたのか。」
何故そんな事を問う?
「そりゃ好奇心ってヤツさ。まあ、何となく察しはつくんだけどねぇ。」
なら答える必要は無いな。
「そう言わずにさ、君から聞きたいんだよ。ほら僕ってさフワッとした存在だから。」
........それのどこが理由になるんだ?
「ンフフー♪」
勝手なヤツだ。まあいい、特別大した事じゃないしな。
「お、言ってくれるんだ。やったね♪」
単純に....... 羨ましかったのだ........。
「羨ましい?それはまた珍しい感情だね。唯我独尊を通そうとした君からそんな言葉が聞けるとはね........。」
だから、とも言えるな。
一人で強くあろうとしたから、足りないものが浮き彫りになっていく。
「ほうほう。」
始めは、若さからなのかそれを補おうと躍起になっていたがな。
「そうだねぇ。そんな時期もあったあった。」
だが、結局出来なかったのだ。
そこから少しずつ自分に持ってないものを沢山持っている皆が羨ましくなった。
皆、様々な輝きを持っていた。
だが自分はどうだ?
そんな素晴らしいもの、持っている筈が無かった。
そうして更に気付いた、私の代わりなど幾らでもあるのだと。
弱く、輝きを持たず、ただ生きる人形など寧ろこの世には必要無い。
「........。」
だから........諦めた。
簡単な事だったろう?笑ってくれていいぞ。その方が報われて良いかも知れん。
「そっか、想像以上につまらない理由なんだね。」
全くだ。返す言葉も見当たらないよ。
「まあ、でも話してくれてありがとう。これで少しは僕等も何か出来るかも知れない。」
そうかい、なら精々頑張ってくれ。
今日は珍しく喋った日だった。
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