こころのそこ
ソラン
第1話
拾っても拾っても手から零れ落ちる。キリが無いと知って尚その手に握ろうとするのは人の性なのか。
嗤われても見下されても見放されても蔑まされても愚かとさえ言われても、絶対に諦めることはしない。
全てを諦めようとする私には何故だかそれが尊く感じた。
「いい感じに目が死んできたねぇ........フフフ。」
愉悦混じりの声が聞こえた。声の方に目をやると誰かが立っていた。その姿はまるでノイズのような、存在そのものがぼやけている、そんな言葉が当てはまるような姿をしていた。
「どうだい?少しは何か見えたか?」
そうだな........
それに答えるように目線を戻す。
「ああ、あの子かぁ。頑張るよねぇ、あの子。もしかして応援したくなった?フフ」
どうだか、自分の事など思い出せる筈がないからな。
「あっそ........まあ、幕引きはアンタが決める事だから文句は言わないけどさぁ」
けど、なんだ?
「クソみたいなエンディングだけは勘弁願いたいね。俺の知ってるアンタならそれが何なのかはすぐに分かる筈だ。」
そう、心底つまらなさそうにノイズが吐き捨てる。
はてさて、何の事だったか........エンディングだと?
まあいい、とりあえずあの子の行く末を私は見届けなくてはな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます