こころのそこ

ソラン

第1話

拾っても拾っても手から零れ落ちる。キリが無いと知って尚その手に握ろうとするのは人の性なのか。

嗤われても見下されても見放されても蔑まされても愚かとさえ言われても、絶対に諦めることはしない。

全てを諦めようとする私には何故だかそれが尊く感じた。


「いい感じに目が死んできたねぇ........フフフ。」


愉悦混じりの声が聞こえた。声の方に目をやると誰かが立っていた。その姿はまるでノイズのような、存在そのものがぼやけている、そんな言葉が当てはまるような姿をしていた。


「どうだい?少しは何か見えたか?」

そうだな........


それに答えるように目線を戻す。


「ああ、あの子かぁ。頑張るよねぇ、あの子。もしかして応援したくなった?フフ」

どうだか、自分の事など思い出せる筈がないからな。

「あっそ........まあ、幕引きはアンタが決める事だから文句は言わないけどさぁ」

けど、なんだ?

「クソみたいなエンディングだけは勘弁願いたいね。俺の知ってるアンタならそれが何なのかはすぐに分かる筈だ。」


そう、心底つまらなさそうにノイズが吐き捨てる。


はてさて、何の事だったか........エンディングだと?

まあいい、とりあえずあの子の行く末を私は見届けなくてはな。

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