第6話俺は…ハッカー…
『大丈夫…か…?怖くても…絶対…声は…出さないで…くれ…』
暗くて、全然何も見えないけれど…頭に響いて来るジア君の声…でも…ジア君が口を動かしている様子はないのに…一体どうやって…?…怖い…暗いところは私に無理やり闇を連想させているかのようで…考えていたらフワッと頭を撫でられた…温かい…ふいに明るくなり…ジア君の声が…
「もう…大丈夫…喋っても…良いぜ…?」
「怖かったよー…!」
暗くて、何も音がしなくて…本当に怖かった…
「ん…ごめん…もう…大丈夫…だから…な…?」
本当に怖かったけどジア君の気遣いは伝わってきたから…泣いちゃ駄目だ!ジア君にこれ以上、気を遣わせちゃ絶対駄目!ジア君は頭を撫でてくれたり…声をかけたりしてくれたのに…!!わ、話題を変えなきゃ…あっ!そー言えば!!
「ねぇ!どうやって喋ったの?ジア君!」
「え…何が…?…」
少し驚いてジア君が言う。
「私に大丈夫?って聞いてくれた時だよ!」
「…」
『此のこと…か?』
やっぱりそうだった。ジア君は口で喋らなくても気持ちを…言葉を伝えられるんだ!
「そう!それ!」
「俺は…一方通行テレパシー…を使えるんだ…」
「一方通行?」
『そう…この…一方通行テレパシー…は…特定の人だけに…自分の言葉を…伝えられる…能力…』
「人の心はわからないってこと…?かな?」
「嗚呼、人の心も読めないし…自分の心も…他の能力者に…読ませない…まぁ…それは…おいといて…こっち来て…」
「何?」
好奇心にかられて早足でついていくと、大きな重そうな扉があった。
「此所…俺のお気に入り…」
そう言ってジアが開いた扉の向こうには…いくつものコンピュータや怪盗道具にCD…道具を造る為のありとあらゆる物が置いてある部屋だった…
「うわぁ…」
「…どう…?」
「凄いよ!秘密基地みたい…ジアk…」
「君つけるな…ジアで…良い…」
えええっ!!いきなり呼び捨て…!!そんなこと…
『無理?』
って!!ジア君本当は私の心読んでるとかじゃないですよね!?一方通行とか嘘じゃないよね!?
「えっと…それじゃ…ジ…ジア?///」
駄目っ!!赤面しちゃう!!…─っ!何で笑ってるのー!!
「…あ…時間…丁度か…こっち来て…今から…普段…何やってるか…見せる…ごめん…喋りかけないで…おいて…くれ…」
「わかった!」
迷惑にはなりたくないし、喋らないことにする。でもやっぱり…そんなに集中しなきゃいけないのかな?大変な事なのかな?
私とジアk…ジアは多くのコンピュータの前に行った。ジアはそのコンピュータの群れ(と言っても良い位多くのコンピュータ)が一面になっている壁の真ん中にちょこんとある椅子に座った。(本当は椅子は小さくないんだけど…高過ぎる天井ギリギリまで壁がコンピュータで覆われているから、どうしても椅子が小さく見えちゃうんだよ!)
コンピュータの電源を入れたと思ったらジアの目の色がどこまでも透き通った水色に…変わった…
『今から…フルで能力使うから…見てて…』
カタタタタタタタタタタタタ…目にも止まらぬ速さでコンピュータのキーボードを打つジア…画面に出た『ブロックされました』の文字…それを一気に…何個も何個も消していく…遂に後3つ…2つ…1つ…消えた!その画面に映っていたのは…『ページ主導権をこちらに移しますか』の文字。ジアは躊躇うことなくyesを押した…ノース科学館のサイトだった…
ビーッ
!?変な音がして…画面を見ると…『ハックされました』の文字…
「─っ…」
『あり得ねぇ…俺が…?…ハックされた…だと…?…』
悔しそうにジアが唇を噛む。そっか…ジアはハッカーだったんだ…
ジア『……リコ…ヘッドホン…つけてくれないか…?…』
片時もキーボードから手を離せない様子でジアが私に頼んだ…何故ヘッドホン…わからないけれどとりあえず少しでもジアの役に立ちたい…邪魔者になりたくないから、不器用ながらにつけてあげた…ジアは鬼タイプ(本当にあり得ない早さなんだよ!私が出鱈目に叩いてもこんな早く打てないよ!)でキーボードをたたく…けれど画面は一向に変わらない…一体どのくらいの時間がたったのか…画面がやっと科学館のサイトに戻った。今度はそのコンピュータに何重ものロックをジアがかけ始めた。
「ふぅ…」
ジアはヘッドホンを取りやっと口を開いた…
「油断した…」
『カッコ悪かった…よな…』
「そんなこと…そんなことなかったよ!ジアがハッカーもやってるんだってわかったときはびっくりしたけど…生き生きしてて…本当、カッコ良かったよ!」
「…っ…帰…るぞ…」
何か…照れてる?ふふっ、面白い。
外に出るとザウ君とズエ君に会った。二人共背は高いけれど…ジアよりは低いんだなー…と思う。何しろジアにさっき聞いたんだけれど197あるらしいし…大きいねぇー…
「さて、ジアくぅーん。リコちゃん独り占めはもうおしまいだよぉー!今度は俺達が案内するよぉー!」
「キモいぞ…ズエ…ザウの真似か…?…リコ…行って来な…」
「うん!」
そう答えた私だったけど…実はもう1つの声に…耳を傾けてたの。
『早く…部屋…戻って…来いよ…?』
ジアに聴こえないのはわかっていたけれど、『わかった!』心でそう答えて…ザウ君、ズエ君の元に行った。
グダグダLIFE~怪盗Z~ a.p @a-p
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。グダグダLIFE~怪盗Z~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます