第5話 会議は踊れ


 

 彼はまったく論理的ではない。

 しかも、論理的でない人間に、論理的でないことを悟らせるのは実に大変だ。

 ああ、なんという生き物!


 だが、よく考えてみてほしい。

 なぜ彼には話が通じないのだろう。

 なぜあそこまで自信たっぷりでいられるのだろう。


 そう、彼には彼なりの論理があるのだ。

 そういう意味では、確かに彼は論理的であると言える。



 論理的という言葉を辞書で引いてみたまえ。

 常識、正解、真実。そんな意味でないことに気づくだろう。

 つまり、すじみちさえ立っていればいいのだ。

 極論や暴論でも、すじみちさえ立っていればいい。

 それに対して反論できなければこちらの負け。


 はい論破。


 そういうことになる。

 できれば中身の濃い議論をしたいと、私自身は思うがね。



 論理とはつまり、出来のいい言い訳なのだろう。

 

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