第3話 チクチクタクタク



 第1問。


 Aという男がいる。

 Aは測定器を使いながら、へとへとになるまで歩き続けた。

 着いたのは、出発地点から10キロの場所だった。


 その次の日。

 Aはまた同じ道を、同じ地点から、同じ速さで歩き始めた。

 へとへとになるまで歩き続け、力尽きたその場所を確認すると、そこはまた、10キロの地点だった。


 1日目、2日目とも、かかった時間は同じだった。


 さて、ここにBという男がいる。

 BはAの挑戦を客観的に見ていたのだが、なんと10キロの地点に早く到達したのは、初日のほうであったと言うのだ。

 こんなことがあり得るのだろうか。



 第2問


 ここに、大小ふたつの時計がある。

 進む方向、進む角度、進むために必要な時間が、まったく同じはずの互いの針。

 しかし、先端の進む距離が違う、というのは、いったいどういうことだろうか。



 第3問


 人間の寿命を2倍に伸ばす、最も簡単な方法とは?



 考えるのだ。考えるのだ。

 そういうところに、「時」の謎を解く鍵があるとは思わんかね。


 前提条件に左右される「時」というものが、どうして不変のものだと言えるのか。


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