第6話 ネコの手も借りたくない
「さっそく交尾するにゃあ♪」
言いながらネコミミを付けた同級生の
「ちょっ……待っ……!」
直接的すぎるアプローチに俺の偽造ビッチのメッキがぼろぼろとこそげ落とされてしまう。
「なんで待つにゃ? 女の子はいつでも発情期の肉食系だにゃ。にゃあもいつでもウェルカムなんだにゃ♪」
「ここ学校! 学校だから!」
「にゅふふ、だから燃えるんじゃないかにゃ。
イケナイ場所でイケナイことをするからこそ二人の思い出になるんだにゃ。さぁ、にゃあのココを乱してほしいにゃん♪」
「だっ、誰か助けて――!!」
校内レイプされかかった俺は間もなく生活保護の先生に二人まとめてつかまって、思い切りお説教を喰らう羽目になる。
ただその内容は退屈極まりないので、その間はこの発情ネコがやってくるまでの経緯がわかるよう数時間前に時間をさかのぼらせる。
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元々クラスには1人だけ幽霊クラスメートがいた。
入学から数か月間は通っていたけど、何かと風紀委員長みたいな振る舞いをするもんだからどんどん嫌われて不登校になった。
いつしかそいつの話をする人もいなくなって、誰も記憶の彼方に存在を追いやっていたはずだった。
今日、登校してくるまでは。
「にゃんにゃにゃ~~ん!
高校生の制服に加えてネコミミというすさまじいファッションでまさかの復活。いや、転生というべきか。
穂乃果は面食らうクラスメートをきょろきょろと見渡して、俺と目が合うやいなや一目散に向かってきた。
「にゃあ! 見つけたにゃ!」
「お、俺……?」
「そうにゃ。にゃあ、不登校で巣に閉じこもっているときからずっと学校裏サイトはチェックしてたんだにゃあ。
最近になって君の名前が頻繁に出てきたんだにゃ♪」
ニコニコと笑う穂乃果の顔はとても整っている。
入学当初はそのルックスでよく注目されていたっけ。今は強烈なしゃべりと服装で"ヤバイ人"感がすごいが。
「俺の名前が出てたって……どういうこと?」
「んふふふ♪ 隠さなくてもいいにゃあ。
君はこの学校で好き勝手ずっこんばっこんしてるって噂にゃあ。
にゃあも君の"せふれ"になりたくて不登校の体を引きずってこの気まずい学校にやってきたんだにゃあ♪」
「理由が不純すぎるって!!
っていうか、そんなことしてなっ……」
まずい。ここで否定もできない。
ビッチキャラで通している以上、変に否定して清楚イメージがつけば性欲回収が難しくなる。
かといって、ここで肯定してしまってもそれはそれで問題が……。
「にゅふふふっ。にゃあはもう我慢できないにゃっ。
早く"たつ"んだにゃっ。早く
「おかしい! なんかおかしいって!!」
穂乃果に腕を胸の谷間にホールドさせられたまま教室を連れ出される。これはもう誘拐だ。
そのまま女子トイレに担ぎ込まれた俺はぎょっとする女生徒の目をかいくぐりながら個室へと拉致監禁されて冒頭に至る。
「……ということで、今後は反省するように!!」
ちょうど生活指導の先生の説教も終わった。
ナイスタイミング。俺の波乱万丈の回想も終わった。
「ふにゅう……いっぱい怒られて、にゃあのお胸もしぼんじゃったにゃあ……」
「しぼむものなのか……」
「触って確かめるにゃ? 触って確かめるにゃ!?」
「触らねぇよ!!」
穂乃果の前では俺のビッチキャラを維持することはできなくなった。
ビッチになればそれこそ俺の童貞どころかありとあらゆる大事なものを奪われかねない。
「おかしいにゃあ、裏サイトでは君はエロエロビッチな男の子だと聞いていたんだにゃ。
にゃあは処女卒業できると期待して学校に来てたのに、捨てられないし怒られるしで最悪だにゃあ」
「俺の噂すごいな……。
ってそれより、お前は……」
「お前じゃないにゃ。穂乃果って名前で呼んでほしいにゃ。
"せふれ"同士は愛と性欲のつながりが大事なんだにゃ。名前呼びはその第一歩なんだにゃ♪」
「勝手に既成事実を作るなぁ!」
「にゃあん♪ にゃんこの世界では常識だにゃあ♪」
「ここはホモ・サピエンスの世界だから!!」
「そんなことは知らないにゃっ。
にゃあは、君の"せふれ"になると決めたんだにゃあ。
どこまでも君についていつかその股間を奪っちゃうにゃ♪」
「怖い怖い!! なんか別の意味で怖い!!」
お父さん、お母さん元気ですか。
僕は恋人よりも、友達よりも先に"せふれ"ができました。
こんな息子をお許しください。
「さぁ、れっつ
「するか!!」
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