第4話 最初の回収
委員長に揉みしだかれること数十分。
筋肉のつきが特別いいわけでもなければ
かといって脂肪があるわけでもない中肉中背。
その俺の胸を揉みしだいてなんの得があるのか。
哲学的に考えているうちにチャイムが俺を救った。
委員長は何も言わずに赤面したまま逃げ去った。
「やれやれ……。ま、とりあえず結果オーライかな」
安心した俺の下に弾丸のような電話がかかった。
A笠博士だ。
「もしも……」
『よくやったぞ! ものすごい性欲量じゃ!!』
「えっ?」
『お前さん、いったい何をしたんじゃ?
腕輪を通していまだかつてない性欲が届いたぞ!
ワシが集めた数十倍をものの数分で!』
「そ、そんなにすごいの!?」
心当たりはある。
委員長は俺の胸をもむために半径1mに近づいた。
きっと委員長の性欲が腕輪……というか
ブレスレットを通して博士のところに送られたんだ。
若いってすげぇ。
『この調子でバンバン集めてくるのじゃ!
世界を元通りにできる日も近いぞ!』
「この調子って言われても……さっきのは特殊だったんだ。
たまたま委員長といざこざがあったから」
俺は博士にこれまでのいきさつを話した。
委員長に見つかったこと。
腕輪の没収の危機にあったことなど。
俺の大変な身の上話を語って聞かせれば、
博士も多少は装備の機能改善に力を注いでくれるはず。
『よし、わかった』
「もっと効率的な装置を作ってくれるの!?」
『お前、ビッチになるんじゃ』
「はああああああ!?」
ビッチ … 雌犬の事。それが転じて、ふしだら、不快、アバズレの意。
いや、そういう定義はどうでもよくって。
なんで高校生の俺がすでにそこに堕ちなきゃいけないんだ。
『世界はすでに性欲が逆転しておる。
一刻も早い性欲回収が急がれるのはお前にもわかっとるな?』
「だから、もっと効率のいい回収装置を」
『やだめんどい』
「うおおおおおい!!!」
『お前さんがビッチになって、
血気盛んな若い女を誘惑しまくれば
性欲もばんばか回収できるというわけじゃ』
「理解はできるけど、納得はしたくない……」
『じゃ、あとよろしく頼むぞ。
ワシは夕方アニメを見る仕事に戻るからの』
「それ仕事じゃっ……」
ブチッ……ツーツー。
切りやがった。
完全に俺任せのこの状況。
こうなったらやってやる。
世界を正常に戻すために勇者だろうがビッチだろうがなってやる。
俺はシャツのボタンを外し、ズボンを下げて教室へ向かった。
学生服でできる最大限の官能的なファッション。
教室に入った瞬間、女生徒の目が変わったのが分かった。
飢えた肉食獣がガゼルを見つける目が俺を貫きまくった。
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