第2話 俺とオレと私 2
それは授業終わりの昼休みの事。同じクラスである山田が前の席に座っている俺に話しかけてきた。説明しておくと俺と山田は2年連続同じクラスで結構親交が深い。
「なあ」
「ん?」
ここでなぜか山田は声を潜めて、
「あいつらって付き合ってんの?」
と教室の端で仲良く談笑している春と秋を指さした。
何故に夏休み直前のこの時期に今更? と思ったが俺は気にせず答える。
「さー、どーだろ。付き合ってんじゃないか?」
「いやいや幼馴染なんだからその辺わかるんじゃないの?」
「いやいやところがどっこい、そうじゃないんだよなぁ」
「……というと?」
山田が興味津々な目で俺を見てくる。
「前にも言ったかもしれないけどあれだよ、親しき中にも礼儀ありっていうか……友達よりもちょっと仲がいいだけで距離感的にはそこらの友達と大差ないと俺は思ってる」
「あー確かに。なんか1年の頃同じ質問した気がしたわ」
「だと思ったよ」
あははと俺たちの間で笑いが起こる。
……春と秋が二人で仲良く話していることは別に今になって始まったわけじゃなく、珍しいことでもなんでもなかった。
気づいた時には二人のそういう時間ができていたし、俺もそれを見て嫉妬したりだとかむかついたりとかそういうことはほとんどなかった。
……多少寂しくはあったけども。まあそんな感じである。
「じゃあお前はどうなんだ? そういうこと意識したことあるの?」
「そりゃあるよ」
「え!? マジでか!」
「……声がでかいぞ」
見るとクラスメイトの何人かがこちらを見てきていた。もちろん件の二人もである。
「……わるい」
「まあいいよ。別に知られて困るわけでもないし」
頭を下げてきた山田に対し、俺は頭をあげるように言う。
「ありがとう。……でもほんとに興味ないんだなあ」
山田がしみじみと言う。
「何がだ?」
「いや馴染みとの恋愛模様(ラブコメ)に」
……。俺は一つの例えを山田に投げかけてみることにした。
「山田は家族と恋愛しろと言われて興味持てるか?」
「や、無理っす」
予想通りの即答であった。
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