気持ちを知ってしまった。
この気持ちは何だろう。
ある日を境に、私はソラの顔をまともに見れなくなってしまった。触れることもできない、隣にいるだけで鼓動が響く。そして、身体中が熱くなる。
ソラは言っていた。
『俺が音華のオアシスになる。』
『俺には迷惑かけても構わない。』
『俺には甘えていいんだよ。』
と。でも、今の私はそんな事出来ない。
だって、これは他人事じゃないから。ー私とソラ、2人の事だから。ー
ある日、私は学校で授業をサボって屋上にいた。
何もすることがない。というか、何も出来ない。頭の中がソラでいっぱいだったから。
昼休みに入ると、小学生の頃からの親友2人がやって来た。
通称“カナp”と“かおるん”。私は2人に“おと”と呼ばれている。
2人は私よりは真面目だが、決して優等生ではない。正直言って私と同じようなくくりだ。
「おとぉ〜また授業サボって!たまにはちゃんと出てよね。ノートとるの大変なんだから!」
とかおるん。
「ごめんごめん。なんか、久しぶりに出ようと思ったけど、今日はなんか、集中出来なくて、何もしてないんだよね。」
「えっ⁉︎いつもはゲームばっかりしてるのに、どうしたの?おと?」
とカナp。
「おとぉ…。もしかして恋?」
かおるんのその言葉に、私は思わず口に含んでいたお茶を吹き出しそうになる。
「おっ当たりか⁉︎誰?どんな人?」
カナpは私の反応に過剰に反応して問いただしてくる。
「つーかさ、恋って、どんな感じなのかイマイチわかんないんだよね。」
かおるんとカナpは私のその言葉に一瞬固まった。
「おっおと…。最初に聞くけど、もしかしたら恋に落ちたかもしれないの?」
かおるんの問いに私は首を傾げると、今度はカナpが聞いてきた。
「んじゃあさ、その相手と一緒に居ると、隣にいるだけで恥ずかしくなったり、心臓ドックンドックンいったりする?」
私はコクリと頷いた。
すると、2人は顔を見合わせて私の肩に手を置いて静かに言った。
「おめでとう…。これで君も女になれるな。」
え?ちょっと、どういうコト⁉︎
「これからは毎日恋バナを聞かせておくれ‼︎」
かおるんはそう言って親指を立て、歯を見せて笑った。
「あっそうだ。ちょっと2人に話しておかなきゃいけないコトがあるんだけど…」
と私が言うと、2人は過剰に反応して「早く聞かせろ」と私を急かした。
「…あのね、引っ越したって2人に前、話したでしょ?で、困ったコトに隣に稔が居るんだよね…。」
「ミノルって、佐久間稔?」
とカナp。私が頷くと今度はかおるんが
「佐久間ぁ⁉︎大丈夫なの⁉︎アイツに関して聞く噂はろくなもんじゃないよ⁉︎」
「え⁉︎なになに⁉︎」
とカナp。
「例えば、未成年なのに成人のフリしてヘーキでタバコ吸うらしいし、バーとか行って、酒飲んだり女ナンパしたりするらしいし、ヤ○ザと繋がってるとか、話によってはその幹部って…」
「げぇっ…。あの見た目でようやるな。学校じゃあ陰気くさいメガネ男子を偽ってるのか。」
カナpは眉間にしわを寄せながらため息をついた。
「つーか、なんでそんなに知ってるの?かおるん。」
「私の隣の席の娘がすっごい噂好きだからね。授業とかつまんない時よくその噂話を私に話してくるの。おかげさまで…。で?話ってそいつのコト?」
私は頷く。
「なんかね、向かいのアパートの、私の部屋の丁度お向かいから、誰かが覗いてるんだよね…」
「幽霊⁉︎」
「いや、違うから。カナp落ち着け。…で、この前の朝…」
私は、あの朝のコトを全て話した。
「…。怪しいね…。」
とかおるん。
「つーかさ!彼氏と同居してたワケ⁉︎つーかもうチューしたの⁉︎早っ‼︎出会って1週間程度で!少女マンガかっっ!!!」
カナpが壊れ始めた。
「この世は一体どうなっているのだっ…!」
頭を抱えてカナpはブツブツとつぶやいている。
かおるんはそんなカナpを無視して話を続けた。
「とにかく、佐久間とはあまり関わらないほうがいいよ。それに、できるだけカーテンは閉めっぱなしの方が安全だよ。もしかしたら、その彼氏さんが言う通りかもしれないから。」
「…うん。…つーかさ、彼氏じゃないから。佐久間の前ではそういう設定になってるだけだから。ただの友達。」
私がかおるんとカナpの発言に訂正を求めるとカナpが突然立ち上がって言った。
「ただの友達…?ただの友達が同居先で早速チューするかぁぁっっ‼︎‼︎お前らはもうカレカノなんだ‼︎自覚を持てぇぇ‼︎」
「ダメだ。カナp完全に壊れたな。おと、私もカナpの言う通りだとは思う。もういっそのことエッチしてしまえ!」
かおるんはカナpの頭を撫でながらウインクした。
いや、なんでそうなるの…?
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