ヒミツを作ろう②
「2人でヒミツ、作ろっか」
私はソラのその言葉で頭が真っ白になった。いや、逆だ。色んな考えが頭を埋め尽くして真っ暗になった感じだ。
えーと…。ヒミツ…って…何?
「ぷっくくくくく」
突然、ソラが笑い始めた。
「何、本気になっちゃってるの。俺が音華に変な事するとでも思った?」
「うん。思った。」
即答した。最近、私のファーストキスだけではなく、セカンドキスまでも奪われたから。
「音華って、ヤラシイね。」
ソラは顔を赤くして笑っていた。
「もう、いい加減笑うのやめてよ!」
だんだん恥ずかしくなってきた。
すると突然、ソラは私を抱きしめてきた。
「え?何⁉︎ソラ、ちょっ…」
「しっ…。黙って。黙って俺の事抱きしめて。」
ソラは言った。
「なんで?」
「外、見てみな、横目でね。」
私はソラに言われた通り、チラリと外を見ると、道を挟んで向かい側のアパートの2階から誰かが私達の様子を伺っている。そして私は、窓にまだカーテンをつけていなかった事に今更気付く。
ハッキリと誰とはわからなかったが、おそらく若い男の人。
私はソラをぎゅっと抱きしめた。
「あれ、気ぃ付けたほうがいいよ。絶対タチ悪いから。」
「…うん。でも、私、なんかしたかなぁ?」
私は横目で向かいの窓を見た。やっぱり誰か見てる。私はソラの頬に手をまわした。
「不本意だけど…。」
私はそう言ってソラにキスした。
カップルがバカみたいにイチャついているところは誰だってガン見はできないはずだ。ラブラブなことをアピールしておけばなんとかなる。…はず。
私はソラから唇を離すと同時に立ち上がった。
「ソラ、ベッドがある部屋ならカーテンあるから、一回そこに避難しよう。」
ソラの耳元で囁くとソラは小さく"ok"と言って隣の部屋に避難した。
私とソラはベッドに腰を下ろした。
「…あれ、誰だと思う?」
私はソラに問い掛けてみた。
「…多分、音華のクラスメイトか何かだよ。しかも、"お隣さん"の関係者じゃないかな。」
「…なんで覗きなんか…。」
「さあ…?しかし、音華があんな大胆なことをするとはね。」
ソラはクスリと笑った。
「不本意って言ったでしょう?ファーストキスもセカンドキスもソラに奪われて、サードキスまでも…。」
「え?さっきのがセカンドキスじゃなかったの?」
「え⁉︎覚えてないの⁉︎昨日の夜、強引にキスしてきたじゃない!」
嘘だろ。覚えてないとか。寝ぼけてたとか。私のセカンドキスをっっ!!!!
「…あ。もしかして、あれのことか?確かに昨日の夜、キスしたけど、夢じゃ…?」
「なんなの⁉︎ヒドイっ‼︎私のセカンドキス返せバカッ‼︎」
私は少し涙目になって枕をソラの顔をめがけて投げつけた。
乙女のロマンが…。
「…じゃあ、さっきの音華からのは俺のファーストキスって事にして、今セカンドキスする?」
ソラは笑顔でそう言った。
えっ…。何言って…
私の脳内がフリーズしたその一瞬の隙をついてソラは私にキスをした。
昨日の夜よりも甘い甘いキス。
なんで…?相手はぬいぐるみが人間に化けただけなのに…。それだけなのになんでこんなにも胸がドキドキするのだろう。顔が、指先が、身体中が熱い。
その時、私は心の奥で何かがうずめき始めたのを感じた。これ以上はダメ。脳内に住む誰かが私に働きかける。
「ソラ…もうやめて…もう…」
ソラの顔もまともに見れなくなっちゃうよ。
「…ごめん。」
ソラは静かにそう言ってうつむいた。
あ…。ソラに勘違いをさせてしまったかもしれない。違うの。別にソラが嫌いになったわけじゃない。これ以上はいけない気がしたの。何かの一線を越えてしまいそうで…。
数日後、私は何かの一線の何かを知る事になった。
それは、ヒミツにしなければならないものだった。
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