2012/12/7 妄想列車に再乗車

久しぶりのことって、ちょっとドキドキしませんか?


久しぶりに弾くピアノ。夏休み明けて始業式で顔を合わせるクラスメイト。しばらくぶりでデートした遠距離恋愛中の彼の、何だかいつもより男らしく見える横顔(最後の一文は完全に妄想です)。


えー、久しぶりに銭湯に行ったって話です。


少しばたばたしたり、行くまでの道のりが寒かったりして行く気にならなかった銭湯ですが、先日実家近くの岩盤浴に行って「あったまるって大切だなぁ」と再確認したせいもあり、また行く気になりました。


大きな浴槽に溢れんばかりにたたえられたお湯につかると、幼馴染の彼に会って「久しぶり」と笑顔で言われた時のような、あの時と変わらない優しさで私を包んでくれます(妄想)。


番台のおばちゃんも、脱衣所も、洗い場も、何も変わらず以前のまんま。いつもはちょっと近寄り難い常連のおばちゃんたちも、心なしか優しい気がします。


あー、日本っていいなぁ。大きいお風呂っていいなぁ。と脚を延ばして思う存分気持ちよさを堪能していたら、突然ガコン、と大きな音がして、浴槽のジェットバス、バブルバスの泡が全部止まりました。


え?と我にかえって見回すと、周りにはおろか、シーンと静まり返った浴場には私以外、今まさにカラカラと引き戸を開けてあがろうとしているおばあちゃんがひとりきり。突然不安がこみ上げてきました。


あれ?ここんちは深夜一時半までの営業のはず。今は夜中の12時。あれ?もしかして私が来ない間に営業時間短縮になったの?


その不安感は、まるで久しぶりに会った彼が突然冷たい表情で携帯電話の着信を取り、知らない人と話し始めたかのよう(妄想)。


上がった方がいいのかな、どうしよう、と逡巡していると、男湯の方から勢いよくドアが開く音がして、三秒後にまた泡が出始めました。機械の不具合だったようです。


その時の安堵感と言ったら、まるで電話を終えた彼がこちらを見て微笑みながら「どした?」と(以下略)


やっぱり私は銭湯が好きだ!しっかりあったまって、足取りも軽く鼻歌交じりで自宅に帰りました。その後三日間、片頭痛にのたうち回る自分の運命も知らず…。


あー、また具合良くなったら、銭湯に行こう。

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