第1097話「その命、消しさるならば」

 こちらは殺す気で臨むのだから、退却を第一に考える者よりも優位なものの考えに至ることくらいはわかりそうなものである。

 それなのに、迷いがなく逃亡する道を選び取った。

 顔が割れてしまえば、ここで暗躍することはできなくなる。


 それは考え方によっては死ぬのと同等と言える。

 しかし、死を選ぶようなことはしなかった。

 俺はあらゆる推論を思い浮かべても、口に出すようなことはしなかった。


 俺がとるべき行動は一瞬で距離を詰めたのちに確実に命を手中に収めることだけだった。

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