第1096話「メイド? 逃がしはしない」

「ユノン様……お戻りになられていたのですね。みんなにも伝えてましります」


「その必要はありません」


「そういうわけにはいきません。ユノン様のお帰りをみんな待ちわびていましたので、教えてさしあげませんと」


 ユノンのアイコンタクトで、思考は加速する。

 俺が求めていた答えを彼女はくれたのだから、次にとる行動は早かった。

 周囲にほかの人間が誰一人としていないことを確認もしなくていい、その必要がないことは理解している。


 俺の右腕がメイド姿の少女の眉間へと伸びる。

 そのスピードは身構えている雑魚モンスターであれば交わすことなどできはしない。

 だが、敵認定したこいつは違う。


 こちらが疑っていることを端から想定していたのだろう。

 しゃがむ体制を瞬時にとると、真後ろへと跳躍しようとした。

 逃がしはしない。

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