第996話「悪意がすべて消え去ったなら」

 失ったものは大きすぎた。

 そこに積み重ねてきた時間だとか、功績だとかは一切関係がない。

 ただ、あるのは目には見えないものだけ。


「この感覚は……」


「アマトも感じた?」


「忘れるはずもない、それなのに今まで全く気が付かなかったなんて」


 徐々に近づいてくる気配はこの死闘の後では忘れるにはあまりにも早すぎる。

 それなのに禍々しい気配ではない。

 寧ろ、澄み切ってさえいる。




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