第997話「迫りくる鼓動」

 村人は誰一人として、表には出てはこないというのに明らかに不自然であった。

 何よりも懸念があるとすれば、俺たちは全員が消耗しきってしまっていることだ。

 再び戦闘をこなせるだけの気力はもう誰も持ち合わせてはいないというのに、不思議となくなったはずの魔力は徐々に戻りつつあった。

 

 それがそのまま次に活きるかといえば必ずしもそうではない。

 心で負けていれば、いつだって戦況は覆るのが世の常である。

 油断したことで、失われた命は少なくない。

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