第909話「奴隷商人のいない今なら」

「あのモニターに映った奴隷の中にいたんだ。度の奴隷も身なりはよかったんだが、一人だけ毛色が違ったってわけだ。だからってわけじゃないが、このありさまだ。まったく冗談ではない」


「アマトが助けなきゃ、あの娘は……、だめだったんだよ。今だって助けるためにここまできたんでしょ? 私はそのへんのことはわかってるつもりだけど」


「わかってるさ。言わなくても……、わかってる。俺だってやれることだけはやる」


「私はできないことでも、アマトならできると思っているからここにいるのよ?」


 足音もないままに扉が開く音が鳴る。

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