第786話「見捨てることは出来ない」

 これには、想定の範疇だとしてもやりきれない。

 犠牲は付物だと割り切ることも出来ない。

 それは良心の有無などではない。


 こんなことは日常茶飯事であるのは見てきたから知っていた。

 兵か自分かだけの違いでしかない。

 幾度となく命の奪い合いは繰り返され、国民を救うために手出しできなかった兵の末路は悲惨なものだった。


 結論は誰も助からない……だ。

 それならば、国民を見捨てるか。

 それも否だ。


 自分の存在が知れ渡った今では、誰かが見ている。

 情報こそが最大の武器であり、弱点だ。

 公の場で悪手になるようなことは出来ない。

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