第785話「思わぬところ」

 夜出歩くことは禁止されてはいない。

 国王から極力外出をしないようにとアナウンスされているだけで、罰則などない。

 事実上の禁止令であるのを知っているからこそ、誰も夜出歩くことをしない。


 止む負えず外出することはあっても、見回りをしている兵に保護される。

 よほどのことが無い限りはもめることはないのだが、賊の類は余程の部類に入る以上戦闘は避けられない。

 黙ってしょっ引かれる程の間抜けはいないようで、たびたび騒ぎが大きくなる。

 

 無論事が大きくなれば街の住人も巻き込みかねない。

 実際に、騒ぎに気づき窓を開けた3階建ての1階に住む住人をあろうことか賊は標的にしたのだ。

 辺りの建物のどこにでも住人はいるだろう、片っ端から襲えばいい。

 

 だが、自分からのこのこ危険にも関わらず首を突っ込む人間は危機感が特別欠落している。

 族としても、チャンスを得たわけである。

 敢えて殺すこともなく、人質として扱う事でこの場を切り抜ける。


 

  

 

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