第711話「管理される国」

「それでも、みんながみんな幸せとは言えない」


「父親の事があったからってわけ……ではなさそうだな」


「才能が無ければ種族も性別も平等にここでは生きていけない。弱者には厳しい国……。だからこそ、あたしの血からはこの国では目立ちすぎる」


 この国に入ってからというもの、常に監視されている視線に嫌気がさしていた。

 それは、スミレも同じだったのだ。

 初め出会った時から、あれだけ大事になったというのに騒ぎ立てる様子もなかったのは同じ理由で間違いない。


 俺達だけが監視対象だとばかり思っていたが、何らかの力があるものは干渉こそされなくても常に見張られている。

 それは国力を失わない為であろう。

 そして、持たざる者は国によって何らかの対応がなされるのだろう。


 それが必ずしも当事者の為になるとは限らない。

 良くも悪くも、この国は個人に干渉する。

 

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