第662話「この国を創りし者は」

「世代交代をすれば考えも変わるとは……」


 自信が持てない。

 自分が行ったことに責任が持てないとはこのことである。

 明らかにおかしなことを口走っていたのだから。


「その通りです。元々の系譜を辿ってはいないと思います。仮に稀有な才能の持ち主であっても、街をそっくりそのまま創りかえるなんてことができるでしょうか」


「私達の世界の人が関わってるんじゃないかな。それなら、今までの村や町よりも最先端な街並みでもおかしくない気がする……」


 ユイナは同郷の者がこの世界の一端を創りかえたという事に誇りや高揚感なんてものは感じていない。

 表情は俺でなくても感じ取れる不安が色濃く出ている。

 ならば、これ以上は言うまい。

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