第548話「自然の迷宮」

 この辺りは凹凸がが激しく、峠を越えているのか下っているのかわからなくなるほどである。

 少し歩けば足場も平らな草原地帯であり、見通しの良い地形だというのに一定間隔で方向感覚を失うほどの迷路のような不思議な土地である。

 油断していると、陰からモンスターが襲い掛かってくるというのだからゆっくり休んでもいられない。


 流石に毎日が生死をかけた戦いという俺達の環境であれば、雑魚が少々しゃしゃり出てきたところで敵ではないのだが如何せん数が多い。

 最早嫌がらせなのではないかと思うほどである。

 それもこの複雑な地形が動植物問わず平等に営みを行うことができるのだ。


 強者も油断すれば弱者に寝首を刈り取られるのだから、弱者は進化し強者に取って代わる余地がある。

 しかし、三日天下となるほど生存競争が激しい。

 それは俺達が直接介入せずともあちらこちらで起こる争いから容易に推測できる。


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