第547話「生きるすべ」

 方向を知るすべがなければ、どこを歩いているのかわからなくなっていただろう。

 何分この辺り一帯には目印にできるものが無い。

 背の高い木を見つけても、それが複数で尚且つ不規則に生えていれば最早目印になりはしない。


 正確に北西に歩いているからこそ確実に首都に近づいている確信があるからこそなんとか、前に歩み続けることができている。

 スキルも、アビリティもなければさまよい続けていただろう。

 

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