第468話「8日目は霧の中で……」
霧のせいで今しがた歩んできた道すらその存在がない物の様に思ってしまう。
隊列は変わらずにバニティーを先頭にしてついて行くのは昨日と同じだというのに、バニティーの姿は見えない。
油断をしているとはぐれてしまうやも知れないが、仲間内であれば最早だれがどこにいるかは把握できるのは当たり前となっている。
皆把握方法が異なるが俺の場合は視覚的に把握することができる。
簡易地図にメンバーのアイコンが出ていると言えばわかりやすい。
スペラの場合は五感が鋭い。特に臭覚を十分に活かすならばこの濃い霧の中であろうと普段以上に活躍してくれるだろう。
「アーニャ、ちゃんとついて来てるかにゃー」
「おう、俺もユイナも大丈夫だ。何かあったら教えてくれ、頼むぞ!」
「任せておくにゃー」
「当たり前の事を言うなとは言わないんだね」
実際に俺はスペラが俺たちの動向は全て把握しているだろうことはわかっていた。
しかし、それを当たり前のことを言うなと屁理屈を言いかけてやめたのだ。
コミュニケーションをとるうえで必死に足元を掬う事を良しとしない。
数日前ならばこうはいかなかった。
今ならばわかる、ユイナは俺に反省を促したという事だ。
「もう、大丈夫。問題などあるわけがない」
「かまってあげるならその方がいいことだってあるんだよ」
「気に留めておくさ」
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