第467話「霧深い森で」

 昨日は早めに眠りについたことで早く目が覚めれたのだが、それは皆同じだったのだろう。

 建物内には気配はなく、外に出ていったのだろうかやけに静かだ。

 ここまで静かだと不気味だと感じてしまうのは常であり、初めてではないのだから別段慌てることもないのだが落ち着かなくなる。


 案の定外に出てみれば、辺りは真っ白で一寸先は闇と言わんばかりに先行きが見えない。

 霧が出るとは昨晩の内に予想していたとはいえ、こうも濃いと昨日までの様に進むことは出来ないだろう。

 どうしてこうも次から次に問題が発生するのだろうか。

 スムーズに進み過ぎるのもそれはそれで気のゆるみが後々響く可能性があるにしても、まだ8日しか経っていないというのにこれでは首都までたどり着くかも怪しいというものだ。

 

「凄い霧だね。こんなに濃い霧って見たことないかな。手を伸ばすと掌だって見えなくなるなんて面白いと思わない」


「そうだな、面白いと言われれば面白いま。田舎にいたときは田んぼの近くを通ると霧で道が見えないこともあったけど、都会のビル街ではめったに見なかったから懐かしい気もしてくるから不思議だ。まあ、今日の事を考えれば笑えないんだけど」


「方角と周りの事がわかるなら平気じゃないのかな。足元だけ気を付けていればそんなに心配しなくてもいいんじゃないの?」


「そうだといいんだけど、察知できる範囲外から飛んでこられでもしたらどうしようもないんだぜ。モンスターって奴は俺たちの想像の斜め上の事を平気でしてくるんだからな」


「ここはスペラの力の見せ所かな」


「ミャーに任せておけニャ。このしょっぱい匂いの方に行けばいいのにゃ。楽勝にゃ」


「当たらずとも遠からずって奴だ。スペラが歩くのは先頭じゃない。モンスターをいち早く見つけ出してその都度、必要なら先に仕留める。昨日に続きバニティーを筆頭について行くスタイルは変わらないからな」


「わかったにゃ」


 食事も早々に済ませ、旅路につく。

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