第458話「距離感がつかめない」

 十人十色。

 このコミュニティーですら各々考えも文化も違うのは明白であり尚且つ、目的すらも異なっている。

 それでも主着点は同じである為に空中分解するようなことはないと思いたい。


「まだ、私の事を信じるには早いかもしれないけど周囲に悟らせるようでは首都についてからは厳しくなるわよ。昔の面影が残っていれば人も多く、治安の悪い地域だと隙を突かれれば失うものも出るのは容易に予想できます。今から気を付けておかないと取り返しがつかなくなりますよ」


「気を付けてるつもりなんだけど、顔に出てるのかな。自分でその都度どんな顔してるかなんてわからないし、言われなければ気にもしなかった。ありがとう、助かるよ」


「違います。一切表情には出てないんですよ。アマトさんが纏う雰囲気が良くありません。抽象的な言い方だって思ったんじゃないですか? 細かく分析するよりも気分を変えて悪いことを考えないのも一つの方法だと言ってるんです!!」


「お、おう。そうだな。なんか、あれだ。テンション上げてこう」


 普段おしとやかなディアナがただ語尾を強くしただけで、ふと我に返った気分だ。

 何かある度に必要以上に考え込んでしまっている自覚はあっても、なかなか正していくのは難しい。

 ここがターニングポイントだと思えば改善の余地はあるはずだ。

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